【この地中熱技術に注目!】小規模建築物対象の鋼管杭地中熱採熱技術~日さく、PEC

◆日さく、PECの共同実証実験が終了◆

◆住宅や事務所会議室の空調施設を対象にした小規模向け地中熱採熱技術◆

日さく(埼玉県さいたま市大宮区桜木町4-199-3、若林直樹社長)、PEC(埼玉県桶川市加納873-2、遠藤康之社長)はこのほど、2019年7月から実施してきた小規模建築物を対象施設とした鋼管杭を活用した地中熱採熱技術の実証実験を終え、今後本格的な展開に向けた準備を進める段階に入りました。建物の基礎杭と採熱孔を兼用することでイニシャルコストの低減を図る考えで、対象施設は比較的小規模な住宅や守衛室などの小屋、法人であれば会議室や応接室などの部分を対象とする空調施設とし、5~10kW程度の規格のヒートポンプで対応できる空調を対象として想定しており、注目されます。


◆深さ10m×5本の鋼管杭にシングルUチューブ◆


この技術開発では、PECが企画立案および施工、日さくが杭基礎管頭製作・熱応答試験・データ整理を担当。実証実験は埼玉県桶川市内にあるPEC事務所(約60m2)を対象に実施。地中熱採熱杭は、深さ10m×5本の鋼管杭にシングルUチューブを設置し、ヒートポンプは定格加熱能力 6.0kW、定格冷却能力 5.0kWのヒートポンプを使用し、事務所室内の冷暖房を行って設備の能力などを検証しています。

実証実験の概要によると、今回の試験では熱応答試験(TRT)の結果、深さ10m×5本の採熱孔からの採熱量は2.1~6.6 kWと試算。これは実際に使用しているヒートポンプの規格と比較すると小さい値になることから、循環する不凍液の温度は2.0~55.9℃と大きく変化することになり、採熱量と比較して空調負荷が過大であることを示していたため、採熱杭の近傍にある井戸で地下水を揚水することで、地下水の流れを人為的に作り出して採熱効果を上げる工夫を施すなどしています。このことから「実際の運用に当たっては、採熱杭の本数を増やすなどの工夫が必要であると感じています」としています。

一般的な採熱方式と比較した場合、ボアホール式では「採熱のための専用孔」の掘削が必要になりますが、今回の工法では、住宅基礎杭と採熱孔を兼用することで、イニシャルコストの低減につながることが期待されます。一方で、採熱孔が住宅の下になってしまうことで配管や維持管理がしにくくなる点を従来工法と比較した際の課題としています。


◆目を引く熱交換器の設置工事時間…鋼管杭打設工事に1日、配管工事に1日◆


実証実験で目を引いたのが、鋼管杭打設工事に1日、配管工事に1日と短い時間で設置できている点。熱交換器設置に要する時間が少なければ、建物の新設等の工程において大きなアドバンテージとなりそうです。

地中熱利用施設は、ここ数年導入量の頭打ち現象が生じ、採熱施設についても深度の深いものから比較的浅いものにシフトする傾向がある中、この工法についてもその一環として、「地中熱空調施設の導入ハードルを下げていくシステム提供の一助になるように、普及を図っていきたいと考えています」と日さく技術開発本部の高橋直人部長は話しています。

また、事務所で実証実験を行ったPECの遠藤社長は、「今回の施工と実証結果から見えてきた課題を踏まえ、採熱杭の本数や地下水利用との組合せ方法などを引き続き検討して行きたいと思います」と今後の社会実装に向けた意欲を示しています。

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※日さくホームページ(https://www.nissaku.co.jp/

※PECホームページ(https://www.pecbor.cc/

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