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◆NEDO事業で「帯水層蓄熱を中心とした面的熱利用によるZEB及びZEH-Mの運用に係わる技術開発」◆

2023年度までに「高効率帯水層蓄熱によるトータル熱供給システム」により積雪寒冷地における『ZEB』(ネット・ゼロ・エネルギービル)を実現した日本地下水開発株式会社(山形市松原777、桂木聖彦社長:企業名略称JGD)は、システムのさらなる進化を目指し、高効率帯水層蓄熱システムをベースとした面的熱利用システムの開発に着手。JGDが確立した「高効率帯水層蓄熱によるトータル熱供給システム」と、それを応用する形で開発される面的利用システムとはどのようなものか。帯水層蓄熱の開発からさらなる高効率化システムの開発、それをさらに高度利用する面的利用システムの確立を目指すJGDの取り組みを紹介します。(エコビジネスライター・名古屋悟)

◆帯水層を蓄熱槽として利用する帯水層蓄熱◆

JGDは、積雪寒冷地である山形県に所在しています。1970年代から地下水の熱利用を研究開発、実用化してきた同社は、その経験を生かし、冬期の降積雪により『ZEB』が難しいと言われている積雪寒冷地での『ZEB』実現を目標に、地下水が貯留されている帯水層を利用する技術開発に取り組んできました。

JGDが着目したのは、「帯水層蓄熱システム」です。地下に広がる帯水層に蓄熱して建物の冷房・暖房を効率的に行う技術で、夏期の冷房で出る温熱を蓄えた帯水層の地下水を冬期の暖房熱源に、冬期の暖房で出る冷熱を蓄えた帯水層の地下水を夏期の冷房熱源に利用することで、冷暖房の効率化を図れるものです。

◆積雪寒冷地での『ZEB』達成に寄与した「高効率帯水層蓄熱システム」◆

この「帯水層蓄熱システム」を高度に生かす「高効率帯水層蓄熱システム」の開発を目指し、2014年度~2018年度にかけて国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「再生可能エネルギー熱利用技術開発」により、技術を確立しました。

「高効率帯水層蓄熱システム」は、2本の井戸を冬期と夏期で交互に利用し、地下水の流れの遅い地下帯水層に冬期の冷熱、夏期の温熱をそれぞれ蓄える仕組みです。

冷房利用で温度が上昇した地下水をさらに太陽熱で加温し、より高温となった温熱を冬期の暖房用井戸周辺の地下帯水層に蓄え、冬期はその温かい地下水を暖房用に利用します。一方、暖房で利用して温度が低下した地下水をさらに融雪の熱源としても利用し、より低温となった冷熱を夏期の冷房用井戸周辺の帯水層に蓄え、夏期に冷房で利用します。

このシステムをJGD関連会社の事務所で空調に導入した結果、JGDの従来型帯水層蓄熱システム(3本の井戸を冷暖房の熱源として利用するシステム)に比べて初期導入コスト21%削減、年間運用コスト31%削減を実現しました。

さらに、この技術開発では、熱利用後に地下に戻すのが難しかった地下水を全量還元できる井戸構築技術も確立しています。

◆冷暖房・給湯・冬期の無散水融雪の3つの熱需要を満たすトータル熱供給システム◆

「高効率帯水層蓄熱システム」を確立したJGDは、「高効率帯水層蓄熱システム」のさらなる高度利用を目標に、2019年度から2023年度にかけてNEDO事業「再生可能エネルギー熱利用にかかるコスト低減技術開発」において、「高効率帯水層蓄熱によるトータル熱供給システム」の開発を進めました。

この研究開発では、「高効率帯水層蓄熱システム」を柱に、太陽光発電設備(30.7kW)、断熱効果を高めた外壁(厚さ300mm)、給湯回路に真空管式太陽熱温水器(84本)、換気装置に全熱交換システム、照明にLED照明、南西側の窓に太陽輻射熱を最大82%遮断する外付ブラインドを組み合わせ、関連会社である日本環境科学株式会社(山形市高木6:企業名略称JESC)ZEB棟で実証試験を行いました。

このシステムの大きな特徴は、「冷暖房」・「給湯」・「冬期の無散水融雪」の計3つの熱需要に対応する点です。

この3つの需要を満たすため、「再生可能エネルギー熱利用技術開発」で開発した冷暖房専用ヒートポンプに給湯回路を付加したヒートポンプ(冷房能力30kW、暖房能力30.1kW、給湯能力30.2kW)をゼネラルヒートポンプ工業株式会社と共同で開発しています。

実証が行われたJESC-ZEB棟は、鉄骨造の地上2階建、建築面積285㎡、延床面積562.5㎡の建物で、2021年2月から2023年10月までの期間でデータを収集。その結果、各年度の冬期運転と夏期運転のトータルエネルギー収支は、削減したエネルギー量が消費電力量を上回る結果となり、全期間を通じて『ZEB』を達成しました。

帯水層蓄熱のメリットをJGDの桂木聖彦社長に聞くと、「需要側に有利な温度の地下水揚水が可能な点です」と言います。例えば2021年度のデータによると、地下水初期温度は16℃ですが、冷房開始時は事前の冷熱蓄熱でより冷たい13.5℃、暖房開始時は事前の温熱蓄熱でより温かい22.8℃の地下水が得られています。熱はその後、蓄熱の消費(揚水量の累積)に伴って初期温度に向けて徐々に収束していきますが、冷熱が必要な期間、温熱が必要な期間を通じて条件の良い熱が得られ、エネルギー消費の削減に大きく寄与していることが分かります。

◆エネルギー消費をさらに削減する工夫…夏期のフリークーリング、冬期用に太陽熱蓄熱など◆

『ZEB』達成の大きなポイントについて聞くと、「夏期の冷房でヒートポンプを使わず地下水の冷熱だけで冷房するフリークーリングを行っていることに加え、給湯用に導入した真空管式太陽熱温水器で集めた熱を利用すること、通常は冬期に融雪で利用する無散水融雪システムを夏にも運転させて集めた温熱を冬期に暖房で使う井戸周辺の帯水層に貯めておくことです」としています。

例えば、フリークーリングの効果は大きく、フリークーリングとヒートポンプ冷房をそれぞれ実施した2023年度夏の結果を見ると、フリークーリングのシステムCOP(SCOP)が23.00だったのに対して、ヒートポンプ冷房のSCOPは8.74となっており、エネルギー消費量削減効果の高さがうかがえます。

◆ZEB改修の事務所とZEH-M化目指す社員寮で面的利用を実証へ◆

同社は、これらの研究成果をさらに進化させるべく、今注目されている熱の面的利用への応用に乗り出し、NEDOが2024年度から28年度にかけて実施する「再生可能エネルギー熱の面的利用システム構築に向けた技術開発」において、複数の熱需要に対して面的に熱供給する高効率帯水層蓄熱システムに関する研究開発「帯水層蓄熱を中心とした面的熱利用によるZEB及びZEH-Mの運用に係わる技術開発」(ゼネラルヒートポンプ工業と共同提案)をスタートしています。

高効率帯水層蓄熱システムを中心とした再エネ熱をZEBならびにZEH-Mといった複数施設で利用する面的熱利用システムの熱源とし、熱負荷の平準化、熱融通、熱利用を高度化することで、最終年度の2028年度に再エネ熱利用システムの導入コストを年度比で25%削減、ランニングコストを25%削減することを目標としています。

実証は、建て替え予定でZEH-Mを目指す社員寮(木造2階建て約600㎡:1K15部屋)とZEB改修予定の山形事務所(鉄骨平屋建て約200㎡)の2棟で行う計画です。

共通の帯水層蓄熱システムを2棟で利用する形で行う予定で、「高効率帯水層蓄熱システム」をベースに、太陽光発電設備、断熱効果を高めた外壁、給湯回路に真空管式太陽熱温水器などを導入する予定としています。

社員寮は社員が仕事から戻る夜から朝、山形事務所は社員が出社している日中に電気や熱の需要が集中するため、熱需要の分散が期待できますが、これまでの実証と異なるのは社員寮に風呂等が設置される点です。暖房用帯水層に夏期に温熱を蓄えるものの特に冬期に温熱需要が高くなることが予想されることから「給湯負荷がどの程度になるかが今後の設計のポイントになります」と述べ、太陽熱による補助等をポイントに挙げています。

社員寮は15部屋ありますが、このうち5部屋は高効率帯水層蓄熱システムによるヒートポンプ給湯、5部屋は空気熱源を利用するエコキュート、5部屋はガス給湯とし、比較試験を行う予定としており、この比較結果も注目されます。

研究開発項目は「集合住宅ZEH-M建築」、「既存事務所ZEB化」、「面的利用システム構築とモニタリング」、「フリークーリングによる高効率化」、「太陽熱集熱器による高効率化」、「給湯専用小型ヒートポンプの開発」、「スケール付着判別の自動化手法の開発」の7項目が研究開発項目として設定されています。

2024年内に社員寮の基本設計を終えたほか、高効率帯水層蓄熱用の熱源井戸の掘削工事もこれまでに完了させ熱源井戸の揚水・注入試験を終え、連続揚水後の地下水位回復等も確認しています。

今後社員寮の新築工事と山形事務所のZEB化工事が本格化し、社員寮は2026年度半ば竣工、事務所のZEB化も2025年度内にも終える予定になっています。

◆「ZEBプランナー」でもあるJGD◆

「ZEBプランナー」にも登録されているJGDでは、「高効率帯水層蓄熱によるトータル熱供給システム」の今後の普及拡大に向け、「東北地方を中心とした積雪寒冷地域を重点エリアとし、ZEB仕様建物の設計事務所や再生可能エネルギー熱の導入に積極的な設計者、環境意識が高い施主や設計者、CO2排出量削減意識が高い施主や設計者などを対象に広めていきたいと思っています」とし、対象施設については「建物面積500㎡~1,500㎡規模の建物で、特に24時間空調が必要な老健施設や診療所、庁舎や消防署等の防災拠点などが主な対象になると見込んでいます」述べており、今後の展開が注目されます。

なお、JGDではこれまでに公共・民間含め11施設に帯水層蓄熱システム(うち2施設が高効率帯水層蓄熱システム)を納入し、帯水層蓄熱システムによるエネルギー消費削減に貢献しています。

◆高い評価を受ける高効率帯水層蓄熱システム◆

JGDの高効率帯水層蓄熱システムの開発等は高く評価されており、2020度に経済産業省東北経済産業局の「再生可能エネルギー利活用大賞最優秀賞」、「気候変動アクション環境大臣表彰」を受賞したのに続き、2021年度には「新エネ大賞経済産業大臣賞[導入活動部門]」、山形県産業賞を、2024年度には「山新3P賞繁栄賞(山形新聞,山形放送)」などを受賞しています。

2024年度からNEDO事業で研究開発を進めている「 帯水層蓄熱を中心とした面的熱利用によるZEB及びZEH-Mの運用に係る技術開発」については、2025年7月17日に開かれた「NEDO再生可能エネルギー分野成果報告会2025」において経過等が発表されています。


※記事中の図は、日本地下水開発株式会社提供

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西日本最大級の物流拠点に国内最大級の地中熱利用システム――。アマゾンジャパン合同会社と三菱地所株式会社は8月、名古屋市港区内にAmazonの物流拠点(フルフィルメントセンター:FC)を新設します。この拠点は、三菱地所の施設「ロジクロス名古屋みなと」(名古屋市港区品川町2-1-6)をAmazon専用に設計し、延床面積は約12万5,000㎡、商品保管容量は約137万立方フィートで、西日本最大のFCとしています。

このFCでは、Amazonと三菱地所が協働し、地中熱空調システムや壁面設置の太陽光発電設備などを導入。これにより、施設の運営に係る温室効果ガスの排出およびエンボディドカーボン(建築物の資材調達から輸送・建築・修繕・廃棄等、建築物の運用以外で発生する二酸化炭素)削減を見込むとし、日本の建物として初めて、国際的な認証であるInternational Living Future Institute(Living Future)のゼロカーボン認証取得が見込まれています。

国内最大級とする地中熱利用システムは、200本の地中熱交換器を実装。1階部分の冷房および暖房に利用することで、低エネルギーで室温を快適に保つとしています。これにより従来の空調と比べて約30%のエネルギー消費量削減が見込まれているとし、Amazon全体の物流拠点においても先進的な取り組みとしています。(以上、「Geo Value」Vol.233より)

詳細はアマゾンジャパン合同会社のプレスリリースを参照してください。

◆未利用温泉熱で必要な温度確保可能を確認◆

温泉廃水の未利用熱で寒冷地の冬期でも南米原産高級果実栽培に必要な温度が確保できることが分かりました――。こう語るのは、株式会社日さく(さいたま市大宮区桜木町4-199-3、若林直樹社長)技術開発本部の高橋直人氏です。

同社では2022年度から2023年度にかけて国立大学法人弘前大学地域戦略研究所新エネルギー研究部門の若狭幸助教ら研究チーム、ジオシステム株式会社(東京都練馬区関町北3-39-17、高杉真司社長)と共同で「高効率の熱交換器を利用した温泉廃熱の農業利用の試み」に取り組みました。実証実験では、青森県深浦町の既設源泉を利用し、源泉から自噴している未利用の温泉廃水を利用して、「森のアイスクリーム」と呼ばれる南米原産の高級果物「チェリモヤ」の栽培の可能性を探っています。

◆世界三大美果「チェリモヤ」◆

深浦町での栽培を視野に入れて実証実験が行われた果物「チェリモヤ」は、南米原産の果物で、「マンゴー」、「マンゴスチン」と並ぶ世界三大美果の1つとして数えられているものです。白く、ねっとりとしたクリーミーな食感で甘みが強いことから「森のアイスクリーム」とも呼ばれています。「チェリモヤ」の販売価格は1個あたり安価でも5,000円を超える高付加価値商品であり、生産技術が確立できれば新たな地域の名産品となる可能性を秘めています。

南米でも高地に分布する「チェリモヤ」の栽培適合温度は15~30℃とされており、日本国内での栽培では冬季の暖房がポイント。実証実験では「チェリモヤ」を栽培するのに必要な冬季の室内温度5℃以上を目指して試験が行われました。

◆ヒートポンプ使わずに冬期(11月~2月)の加温性能を確認◆

使用した熱源は、青森県深浦町の既設温泉の自噴している未利用の温泉廃水。

温泉廃水を温泉貯留槽に貯め、そこから採熱する形で、熱交換器にはポリエチレン製の熱交換シート(商品名:G-HEX)を筒状に丸めたものを採熱・放熱で使用しています。

採熱部分は常時温泉水の流れがあり、採熱効果がより得られるようになっています。一方、放熱部分は植物の葉の部分を温めるように熱交換シートを屏風状に立てるように設置しています。

加温する実証実験施設は実際の栽培ハウスを想定し、面積5.6m2の半球状のドーム型温室で、冬期での「チェリモヤ」栽培に必要な温度を確保できるかを2年間確認しています。冬季の加温のみ必要なため、加温システムの実証は冬期(11月~2月)にのみ実施したとしています。水温の高い温泉水を利用するため、ヒートポンプを使わないシステムになっている点も特徴になっています。

具体的な実証の内容を見ると、温泉温度はおおむね50.6℃(温泉流量200L/min)で、2022年11月からデータを採取し計測した結果、「採熱側の循環流量12L/minで採熱側の入口と出口の温度差は約2.9℃程度となり、放熱側(室内側)の温度は目標である室内温度5℃以上をおおむね確保することができました」としています。

なお、実証実験では採熱側で運転後期に採熱温度差の低下が見られましたが、「これは採熱器への温泉スケールの付着が原因と考えられ、定期的に高圧洗浄をかけたりすることで採熱能力が回復することも確認しています」と高橋氏は述べています。

◆ボイラー換算A重油年間5万7,600円分削減、CO2排出量年間1,540㎏分の抑制も◆

これらの結果から、施設での放熱器からの熱放出量は約2.0 kWと試算されています。

これを化石燃料の燃焼に換算した場合、5,760 kWh/年となり、A重油の量に換算すると576 Lとなり、「コスト面で見ると、A重油の単価を100円/Lとするとボイラーを用いて暖房した場合のコストは年間5万7,600円となります」とし、この温泉熱を利用すれば通常のボイラーでかかる燃料代等よりもランニングコストの面で有利になる可能性が示唆されています。

環境性能の面でも、A重油だとCO2排出量は年間1,540kgとなりますが、温泉廃水の場合は排出量が限りなくゼロになるため、温泉熱システムを利用することで温室効果ガスの排出抑制にもつながります。

同社が担当するのは温泉熱の部分で「チェリモヤ」栽培に必要な室温を維持できるかを確認するもので、「チェリモヤ」自体の結実等までは至っていませんが、共同で実施している弘前大学では別途、太陽光発電システムを利用したIoT技術による遠隔管理に関しても実証が進められています。

温泉廃水の未利用熱など地域資源を生かして寒冷地での「チェリモヤ」栽培が確立できるのか、今後も注目を集めそうです。

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地中熱は再生可能エネルギー熱の用途として空調で使うことができます。この特長を利用した『ZEB』を自社の中越支店に導入したのが株式会社興和(新潟市中央区新光町6-1、齋藤浩之社長)。持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた取り組みが重視される中、自社ビルの『ZEB化』に取り組んだ事例のほか、興和独自の地中熱の活用事例を紹介します。(エコビジネスライター・名古屋悟)

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◆地中熱を活用して積雪寒冷地で『ZEB』達成~中越支店◆

同社が『ZEB』化を目指した中越支店は、冬季には雪が降り積もる新潟県長岡市内にあります。

事務所棟(鉄骨造・地上3階建て)と倉庫棟(鉄骨造・地上2階建て)で構成された建物(建築面積約640㎡、延床面積約1,157㎡)で、『ZEB』を達成するため、高性能断熱材、Low-E複層ガラスによる外皮性能の向上を図るとともに、地中熱利用空調設備、照明のセンサー制御、DCブラシレスモーター換気扇、全熱交換器、ビルエネルギーマネジメントシステム(BEMS)導入による消費エネルギーの削減、太陽光パネルと蓄電池による創生エネルギーの確保、ヒートポンプ給湯器の導入などを組み合わせ、『ZEB』を実現。省エネ大賞(省エネ事例部門)省エネルギーセンター会長賞を設計・施工の福田組と共同受賞するなど関係各方面から高い関心を集めています。

(写真;株式会社興和中越支店)

この中で注目したいのが、同社が脱炭素化の有効手段として長年手掛けている地中熱を中越支店の『ZEB』化でも生かしている点です。

地中熱は、季節や時間、天候等の変化に左右されない再生可能エネルギーで、夏は外気より冷たく、冬は外気より温かい地中内の熱を空調の熱源として利用することで、空調のエネルギー消費量を大幅に減らすことが可能になります。

季節にも左右されない地中熱が、『ZEB』化が難しいとされる雪国での『ZEB』実現を支えています。地中熱空調設備は、一般的な空調システムに比べて約50%程度電力消費量を削減する効果があります。

また、駐車スペースにも地中熱を活用した『地中熱ヒートパイプ融雪』を導入しています。電力等のエネルギーを使わずに路面にたまった雪を溶かすことができる画期的なシステムであり、これも同社が長年注力している技術です。

◆ヒートパイプ内に封入した冷媒が地下で熱を奪い、動力なしで地表の雪を溶かす◆

同社の『ヒートパイプ融雪システム』は、地中熱や温泉熱、下水熱等の再生可能エネルギー熱を利用して融雪するものです。ヒートパイプは、柔軟で折り曲げることが可能な外径26.5 mmのステンレス製のパイプで、作動液として冷媒の「R134a」が封入されています。このヒートパイプは、例えば地中熱を利用する場合、地中側に垂直に埋設し、地表近くでL字に曲げて路面下に水平に敷設します。

(図:地中熱ヒートパイプ融雪の仕組み)

融雪の仕組みは、地中側のヒートパイプ内で液体だった作動液が地中の熱を奪って温まって気体となり地表部に移動します。この時、地中から奪った熱も地表部に運ばれ、路面を温めて雪等を溶かします。融雪で熱を奪われた作動液は再び液体となり、ヒートパイプ内を自然に地中側に移動します。このサイクルを繰り返すことで、動力なしで雪を溶かすことが可能になっています。地中に埋設する部分は、丈夫な防食用シースで覆うため、劣化などの懸念もありません。用途に応じて1m~24mまで製作可能となっています。

興和は、今年度より融雪用ヒートパイプの製作を秋田から本社のある新潟に移転し、北陸・東北エリアのみならず、北海道や西日本での販売拡大も視野に入れています。

◆地中熱以外でも、下水熱を熱源に融雪・空調に◆

興和は、冬期でも温かい生活排水等が流れている下水道管の下水熱を利用するシステムの設計・施工も行っています。下水管は地下に埋設されているため、地中熱と同様に夏は外気より冷たく、冬は温かい特長があり、特に人口が多いエリアでは、大きなポテンシャルを有しています。

興和は下水本管の管底に採熱管を設置する「管底設置型」システムの導入を進めており、本社のある新潟に留まらず、北海道、東京、大阪、福岡など、全国各地の導入に携わっています。

(下水熱の採熱システム)            

(下水熱システムでの融雪状況)

◆一次エネルギー消費量のさらなる削減の切り札である再生可能エネルギー熱利用◆

地球温暖化の進行に伴う気温上昇が顕著となる中、温室効果ガスの削減が一層求められると同時に、価格高騰が続くエネルギーの使用量削減も重要な視点となっています。こうした中、一次エネルギー消費量を大幅に下げられる地中熱や下水熱など再生可能エネルギー熱利用は今後、大きな役割を果たすと考えられ、再生可能エネルギー熱利用の技術開発、市場への導入拡大に取り組んできた興和の取り組みは一層注目を集めそうです。

※記事中の図、写真は株式会社興和提供

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◆ZEBリーディングオーナー登録の15%で地中熱利用設備導入◆

筆者:エコビジネスライター・名古屋悟(ECO SEED代表)

「広報『地中熱』」では2025年夏も、地中熱普及に向けた話題や取り組み事例などを紹介していきたいと思っています。温室効果ガスの排出抑制が世界的な課題となっている中、筆者(ECO SEED代表・名古屋悟)は、2011年頃から再生可能エネルギーの1つである「地中熱」に注目して取材をしています。太陽光発電など再生可能エネルギー電力利用に比べると一般的な知名度はいまだに低いままであるとともに導入時のコストがかかる点などが課題となっていますが、「土地があれば基本的にどこでも使える」、「日中や夜間など時間に左右されない」、「天候に左右されない」という汎用性の高さは、その他再生可能エネルギーに比べても大きな優位性があると考えています。この「地中熱」を生かせるものとして、筆者は近年「ネット・ゼロ・エネルギービル」(ZEB)に注目しています。(エコビジネスライター・名古屋悟)

※地下水の熱利用、帯水層蓄熱利用システムなども地中熱利用に含みます。

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◆ネット・ゼロ・エネルギービル(ZEB)◆

筆者が「地中熱利用」で注目しているZEBは、快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物として関心が高まっています。

建築物のエネルギー使用量の削減に向けては、2017年4月に延べ面積2,000㎡以上の新築非住宅建築物等に対して省エネルギー基準の適合が義務化され、2025年4月には原則全ての新築・増改築される建築物で、省エネ基準への適合が義務化されています。省エネ基準を満たさない建築物は確認申請が通らなくなりますが、この省エネ基準適合義務化よりも一段レベルの高いZEB化が今後の大きな焦点になります。実際、2030年度以降に新築建築物については、ZEBレベルの省エネ性能の確保を目指し、基準の見直しが進められる見込みになっています。

建物内で人が活動している限り、エネルギー消費量を完全にゼロにすることは難しいですが、消エネ対策でエネルギー消費量を減らすことと、再生可能エネルギーなどで使う分のエネルギーを創出することを組み合わせることで、エネルギー消費量を正味(ネット)でゼロにすることができます。

◆国のZEB支援事業も◆

国でも「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」(イメージ図は環境省の同事業資料より)などの補助事業を設けて、ZEBの普及拡大を後押ししています。

◆夏は外気より冷たく、冬は外気より温かい「地中熱」を冷暖房熱源として利用することでエネルギー消費量削減に貢献◆

この「ZEB」を実現するうえで、「地中熱」は大きな役割を果たすと考えられています。

「地中熱」は年間を通して安定した熱エネルギーで、夏は外気温よりも冷たく、冬は外気温より温かいのが特徴で、冷暖房などに利用することでエネルギー消費量の大幅な削減が期待できます。地中熱は空調(冷暖房)の熱源として利用されています。

一般的に普及しているエアコンは空気を熱源としていますが、夏は30℃以上の外気温を熱源に冷房を、冬は10℃以下の外気温を熱源に暖房を行いますが、年間を通して温度が安定している地中熱は、例えば東京では平均17℃とされており、冬に外気よりはるかに温かい地中熱を利用すれば部屋を暖めるための電力消費量が少なく済みますし、夏に外気よりはるかに冷たい地中熱を熱源にすれば部屋を冷やすのに必要な電力消費量を減らすことができます。

地中熱利用によって、一般的に20~50%程度のエネルギー削減効果が見込まれるとされており、ZEB実現に向けて地中熱利用が大きな後押しとなることが期待できます。

◆公共建築物のZEBリーディングオーナー登録では約40%で地中熱利用◆

実際に、すでに「ZEB」を実現したケースでも地中熱利用は進み始めています。

ZEBの導入事例やZEB導入に向けた計画、目標などを一般に公表する先導的な建築物のオーナーを登録するZEBリーディングオーナー登録制度によると、2022年7月現在で460件の建築物がZEBリーディングオーナーとして登録されていますが、このうち約15%あたる67件で地中熱利用設備が導入されているとされています。

とりわけ公共建築物では地中熱利用が顕著で、2022年7月現在でZEBリーディングオーナーに登録されている公共建築物49件のうち40%強の20件で地中熱利用が進められているとされています。

◆取材で積雪寒冷地でのZEB等の事例も◆

ECO SEEDで取材したケースでも、「積雪寒冷地域で年『ZEB』実現した高効率帯水層蓄熱システムを柱に面的利用の技術開発へ~日本地下水開発(株)」(https://geovalue-plus.themedia.jp/posts/55479406)、「『地下水熱』等でZEB実現~かまぼこ老舗の鈴廣蒲鉾本店」(https://geovalue-plus.themedia.jp/posts/4400924)などの事例があります。

ZEBが広まる中で、ZEBにおける地中熱導入のノウハウを持つ設計、施工事業者も増えています。

これからZEBを目指す建築物オーナーは、土地があれば基本どこでも使え、24時間季節・天候に左右されずにエネルギー消費量の大幅な削減が期待できる地中熱の利用を考えてみてはいかがでしょうか?



(筆者紹介)環境専門紙「環境新聞」記者(2000年~2015年)を経て、2016年3月に独立開業。同年4月より土地環境電子専門紙「Geo Value」の配信を開始。一般向け地中熱広報WEB媒体「広報『地中熱』」も開設。その他、古巣「環境新聞」や「朝日新聞デジタル『SDGsACTION』などへの寄稿も手掛ける。

◆埼玉県環境科学国際センター内エコロッジで◆

「小規模地中熱利用勉強会」(幹事社:株式会社日さく、株式会社PEC)が4 月 21 日(月)14:30~16:30、埼玉県環境科学国際センター内エコロッジ(埼玉県加須市上種足 914)で開かれます。

「地中熱を利用したきくらげ栽培事業の現状と今後の事業展開」(仮)をテーマに株式会社PECの遠藤康之氏が講演するほか、株式会社PECが取り組む地中熱を利用したきくらげ栽培事業の地中熱利用システムの地下水温度変化などを解析する株式会社日さくの高橋直人氏が地下水温度の変化などについて報告する予定としています。

また、埼玉県環境科学国際センターで地中熱利用に関する研究を行っている濱元栄起氏が、埼玉県環境科学国際センターが取り組む地中熱利用の研究成果などを講演し、その後、参加者と意見交換会を行うとしています。

勉強会は通常、会参加企業等のみの参加ですが、今回は一般の参加も可能。

参加無料。定員は先着順20名(定員になり次第締め切り)となっています。

参加希望者はタイトルに「小規模地中熱利用勉強会参加希望」を明記の上、本文に社名、参加者名、参加者数等を記載し、info@pecbor.cc までメールで申し込み。

「広報『地中熱』」でも紹介している株式会社PECが取り組む「地中熱を利用したきくらげ栽培事業」がこのほど、テレビ埼玉の番組「埼玉ビジネスウオッチ」で紹介されました。

地元・桶川市でも期待が高まっていることが番組から伝わってきており、今後の展開が注目されます。

その動画がテレビ埼玉「埼玉ビジネスウオッチ」のホームページでも掲載され、動画を見ることができます。

リンク先は、株式会社PEC社のブログからご覧ください!☟

◆老朽化下水道管路陥没事故で考える再生可能エネルギー熱利用◆

 八潮市での下水道管老朽化陥没事故を見て、新聞記者時代に取材していたことをいろいろ思い出しています。私はかつて環境専門紙記者時代に下水道分野も担当しており、下水道管路の老朽化問題も大きな取材テーマでした。

下水道分野の担当を始めた2001年当時から下水道事業では管路の老朽化は大きな問題でした。路面陥没事故も規模は大きくなくとも全国で3000件程度起きていました。

◆老朽管対策の工法で下水の熱を回収する技術◆

そんな状況下、2010年代に入ると老朽管の更生工法を利用した下水熱利用システムが登場し、私は老朽管対策の切り札のひとつが「これだ!」と思いました。

単純に下水道管の改築更新をしていくにはあまりにも膨大な延長距離があり、予算的にも厳しい状況でしたが、空調や給湯の熱源として下水熱が利用でき、老朽管対策も進むのならこんな素晴らしいことはありません。

下水道事業者は、熱供給事業者として利用者から施設管理費や使用熱量を収入として得ることができれば、積極的に更生工事を行える土壌が出来上がる…そう考えていました。

当時、下水道部局もかなり頑張って利用しやすいように工夫はしてきましたが、やはり民間が手続きも簡単に行え、容易に使えるようにまではなっておらず、結局、地中熱に比べても使いにくい熱源のままです。

今後、下水道事業者の収益が上がる仕組み、エンドユーザーがとても簡単に使える仕組みができれば…老朽管対策は今よりは早くスムーズに進むのではないかと考えています。

下水道事業者だけだと従来の制度等にどうしても引っ張られる傾向があると思うので、再生可能エネルギー熱利用を推進する側等が下水熱の利用が老朽管対策の加速に繋がる可能性が高いことを積極的に働きかけていくようなことも重要な気がします。

繰り返しになりますが、下水道等の地下インフラの老朽化はかなり深刻な状況です。その問題が再エネ熱利用で解消されるのであればこんなに良い方法はないと思っています。

〈エコビジネスライター・名古屋悟(ECO SEED代表)~※元・環境新聞記者〉

※この記事は電子専門紙「Geo Value」Vol.214 編集後記で掲載したものです。


「広報『地中熱』」でも紹介しました株式会社PECが取り組む「地中熱を利用したきくらげ栽培事業」がこのほど、テレビ埼玉の取材を受け、テレビで放送されることになったようです。

番組名は、「埼玉ビジネスウォッチ」(https://www.teletama.jp/sbw/ )で放送日時は2025年3月1日(土) 21:30〜22:00の予定とのことです。

同社ではすでに自社で栽培している「きくらげ」の販売も開始し、大変好評とのことです。

自社でのきくらげ栽培はもちろんのこと、地中熱を利用した作物栽培システムの導入希望者にもシステムを提供していく考えで、今回のテレビ放送を契機に今後の展開が注目されそうです。

ゼネラルヒートポンプ工業代表取締役・柴芳郎氏 記念インタビュー


地中熱をはじめとした再生可能エネルギー熱(再エネ熱)のヒートポンプ利用に積極的に取り組んできたゼネラルヒートポンプ工業株式会社(名古屋市中村区名駅2-45-14東進名駅ビル7F、代表取締役:柴芳郎)が2024年11月に創業40周年を迎えました。2050年ゼロカーボンの実現に向け、再生可能エネルギーの利用やさらなる省エネ化に大きな関心が集まっている中、再エネ熱や未利用熱を効果的に利用し、一次エネルギー消費量のさらなる削減に効果を発揮するヒートポンプへの期待も高まっています。再エネ熱利用における同社のこれまでの取り組みやヒートポンプの役割、今後の展望等について同社代表取締役・柴芳郎氏(写真)に話を聞きました。(エコビジネスライター・名古屋悟)

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◆排熱回収型ヒートポンプの開発から40年◆

――再エネ熱のヒートポンプ利用への関心が高まっている中、創業40周年おめでとうございます。

「2024年11月におかげさまで創業40周年を迎えました。1984年に冷房と給湯を同時に行う排熱回収型ヒートポンプの先駆者である創業者・柴芳富が創業して以来、業務用に対応した地下水熱や地中熱、空気熱等を熱源とするヒートポンプを多数製作し、世に送り出してきました。

2000年には、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)国際共同研究事業に参画し、中国長春市に地中熱交換器を用いたクローズドループの地中熱ヒートポンプを初めて納めて以来、国内の多くの施設でクローズドループの地中熱ヒートポンプも導入頂いています。

年間を通して温度差が少なく、夏は外気より冷たく、冬は外気より温かい地中や地下水の温度を冷暖房などの熱源としてヒートポンプで必要な温度にコントロールして利用するシステムは、再エネ熱利用であると同時に消費電力を大幅に低減する省エネシステムになります。また、使用後に捨てていた排熱を再利用する際にもヒートポンプはその熱を増幅させて利用することができ、無駄のないシステムを構築することができます。

地中熱や地下水熱は冷暖房、給湯、消融雪に、温泉熱などは給湯や加温、床暖房、消融雪などに利用でき、いずれも従来のシステムよりも化石資源由来のエネルギー消費量がないまたはとても少なく、温室効果ガス(CO2)排出量を大幅に抑制することができます。

事務所、庁舎、病院、福祉施設、教育施設、工場、宿泊施設等に加え、近年では農業施設等での利用も注目されており、今後も幅広い分野で役立つものと考えています」

◆2024年度省エネ大賞を共同で受賞◆

――2024年度省エネ大賞では、省エネ事例部門資源エネルギー庁長官賞(ZEB/ZEH分野)を受賞しましたが、これも再生可能エネルギーを活用した事例ですね。

「株式会社日建設計及び常盤工業株式会社、ピーエス株式会社、富士エネルギー株式会社とともに取り組んだ『自然エネルギーを活用したパッシブ型ZEBオフィスの取り組み』が評価されました。

この取り組みは、常盤工業株式会社(静岡県浜松市)が本社ビル建て替え(上写真:ゼネラルヒートポンプ工業㈱提供)に際し、設計会社等から知見を得ながら徹底した自然熱利用や空調設計等により、地産地消型のZEBを目指し達成した省エネの取り組みです。

『除湿型放射冷暖房による高効率な空調システム』や『放射冷暖房機とRC躯体蓄熱の相乗効果による室内温度の安定化』、『豊富な井水、晴天率の高い太陽熱を活用した高効率熱源システム』などを効果的に組み合わせたもので、汎用技術を組合せることで大きな省エネ効果を創出した事例になります。

1次エネルギー削減の実績は、コンセントなどを除き基準の73%減となる339MJ/㎡年。太陽光込みでは-104%となり、完全『ZEB』を達成しています。

当社は井水を利用するヒートポンプシステム(下写真:ゼネラルヒートポンプ工業㈱提供)で参画していますが、ヒートポンプはピーク時のみに使用する設計とし、通常はフリークーリング(ヒートポンプを動かさずに井水の冷熱で冷房)およびフリーヒーティング(ヒートポンプを動かさずに太陽熱で暖房)をベースとしていることで大きな省エネ効果を発揮しています。

こちらの施設では、見学会などZEB普及拡大の活動も積極的に行っている点が特長となっています。

このほかにも省エネ大賞では、2011年度には「洗浄工程用ヒートポンプ」で資源エネルギー庁長官賞(産業分野)、2017年度には「透析熱回収ヒートポンプ」(当社・株式会社ウォーターテクノカサイ・日機装株式会社)で省エネルギーセンター会長賞(製品・ビジネスモデル部門)を受賞しています。

省エネ大賞以外にも文部科学大臣表彰などさまざまな賞を受賞させていただいています」

※受賞歴は同社HPの以下URLを参照。

https://www.zeneral.co.jp/corporateinfo/jyusyoureki.html

◆多様な熱源を生かすノウハウ◆

――これまで再エネ熱ヒートポンプ利用で多くの実績を残されています。

「当社では創業当初から手がけている排熱や近年、導入が進む地中熱や地下水熱だけでなく、温泉排湯熱、下水熱、空気熱、さらには人工透析の透析熱、産業廃棄物の最終処分場における浸出水の熱のなど多様な熱源を生かしたシステムを手掛けてきた実績があります。

例えば透析熱の事例は、2018年に竣工したクリニックに導入したもので、人工透析治療で使用された透析排液やRO濃縮水を熱源とした水冷式ヒートポンプとインバータ技術を駆使してRO原水を加温することで、従来設備(電気ヒーター等)の稼働率を削減し、大きな節電効果・CO₂削減を実現するシステムになっています。今まで使わずに捨てていたエネルギーを生かして一層の省エネを実現することができる事例です。

当社では、1984年創業から2024年度までに国内外で1000件以上の納入実績があり、現在では、地中熱・温泉など再エネ熱利用分野での業務用ヒートポンプで業界をリードしていると自負しています。

当社ホームページにて納入実績(https://www.zeneral.co.jp/nounyuu_jirei )も紹介していますので、ご参考にしていただければ幸いです」

◆ZEB達成に役立つ再エネ熱利用ヒートポンプ◆

――新築の建築物ではZEB化を目指す動きも加速しています。ZEB達成において再生可能エネルギー熱のヒートポンプ利用の役割も今後さらに大きくなると考えますが。

「近年は、政府の2050年ゼロカーボンの目標達成に向け、ZEB等の普及拡大が急務となっていますが、ZEB達成において地中熱はじめとした再エネ熱、未利用熱を利用するヒートポンプシステムは、一次エネルギー消費量削減の大きなひと押しとなるものです。

立地する地域で最も効果的な熱源を選択し、組み合わせることで効果的なシステムを構築することができます。

当社では先ほど省エネ大賞で紹介したケースのほかにも、帯水層蓄熱システムに太陽熱などを組み合わせてZEBを達成した事例など実績を多数有しています。ZEBを目指している方はぜひご相談ください。

なお、当社ではヒートポンプシステムの運転状況や消費した電力量、温度表示などをリアルタイムで把握できる熱源制御・監視システム『ZEOS®(Zeneral Energy Operation/Observation System)』(https://www.zeneral.co.jp/ZEOSr )も開発し、提供しています。エネルギーの『見える化』を実現するもので、デマンド制御やスケジュール機能などが可能で、省エネルギー・省コスト効果を助長します。ZEBにおける実運転において運転管理の効率化にもつながるシステムになっています」

◆さらなる認知度向上が課題…◆

――効果の大きな再生可能エネルギー熱利用ですが、さらなる普及に向けて必要なことと感じていることはありますか?

「業界団体の積極的な啓発活動があり、地方公共団体や建築設計の業界における知名度は飛躍的に伸びたと感じています。このため、庁舎やZEB達成を目指す建物などにおいて再生可能エネルギー熱の導入が増えてきています。

一方でエンドユーザーとなる方々にはいまだにあまり知られていないのが実情だと感じており、積極的な普及啓発活動は今後も必要だと考えています。

手前みそになりますが、四半世紀にわたり地中熱、温泉熱、太陽熱などの利用方法を研究してきたノウハウを生かし、書籍『再生可能エネルギー熱』(幻冬舎:著者・柴芳郎)を昨年6月に上梓しました。発電よりも効率的な熱利用は社会に大きなメリットを生み、省エネルギーと省コストに大きく貢献できること示しており、再生可能エネルギー熱の重要性と有効性を知っていただくことで、ネットゼロエネルギー・ネットゼロカーボンにつながる一冊になっていると思います。

全国の書店(三省堂/丸善/ジュンク堂/紀伊国屋等)で購入できるほか、Amazon(https://www.amazon.co.jp/%E5%86%8D%E7%94%9F%E5%8F%AF%E8%83%BD%E3%82%A8%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E7%86%B1-RENEWABLE-HEAT-%E6%9F%B4-%E8%8A%B3%E9%83%8E/dp/4344948041?source=ps-sl-shoppingads-lpcontext&ref_=fplfs&ref_=fplfs&psc=1&smid=AN1VRQENFRJN5)でも購入可能ですので、ぜひご一読いただき、再生可能エネルギー熱のヒートポンプ利用について知っていただければと思っています」

◆新年度には新製品の販売も開始へ◆

――これからに向けた抱負をお聞かせください。

「省エネルギーによるエネルギー自給率向上という日本の課題に加えて、地球温暖化防止という世界の課題を背景に、業務・産業分野において、多種多様な未利用熱源の有効活用が求められています。こうした課題に対し、これからも当社技術が貢献できるものと確信しています。

ヒートポンプシステムは、冷熱や温熱を作るための生活に欠かせない技術であるとともに、再生可能エネルギー熱や未利用熱は今後の地球環境保護のためにも大切な技術です。それらを組み合わせたヒートポンプシステムは将来の可能性に満ちています。これからもさらなる省エネルギーと利便性を追求し、環境価値の高い製品を提供していきます。

2025年度には、オゾン層を破壊せず地球温暖化係数(GEP)の低いハイドロフルオロオレフィン(HFO)系の次世代低GWP冷媒であるR513Aを使用した高温型水冷式ヒートポンプ、従来のR410Aに比べてGWPが1/3以下となるR32を使用した水冷式ビル用マルチも販売を開始する予定です。

ヒートポンプのパイオニアとして、ヒートポンプの専業メーカーとして、引き続き『技術革新・環境価値・社会貢献』を経営理念に、人と地球に優しい製品開発に努めてまいります」

――お忙しい中、ありがとうございました。御社が展開する再エネ熱を利用したヒートポンプシステムのさらなる普及が進むことを願っています。 (了)

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地中熱を中心とした再生可能エネルギー熱利用システムのコンサルティングや資機材販売を手掛けているジオシステム株式会社(東京都練馬区関町北3-39−17、高杉真司社長)では、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)事業における研究開発で、工場排水や温泉水などの流水(流れる水)が持つ再生可能エネルギー熱の利用に特化した樹脂製投げ込み式熱交換ユニット(商品名:G-HEX)を開発し、商品化して各所で実績を伸ばしています。


◆NEDO事業で開発したメンテナンス性に優れた熱交換ユニット◆


昨今、2050年脱炭素化に向けてエネルギー利用効率の向上に向けて熱の効率的な利用が重要と認識されており、再生可能エネルギー熱が重要な役割を果たす可能性があると位置付けられています 。しかしながら、再生可能エネルギー熱利用は、導入コストや運用コストの高さが課題となり、まだ、十分に普及していません。

こうした中、工場排水や温泉水などの流水(流れる水)は比較的利用しやすい再生可能エネルギー熱として期待されていますが、さまざまな異物な異物やスケールを生じる化学成分やスケールを生じる化学成分が含まれる可能性が高いことが課題となっています。このため、腐食に強く、メンテナンスが容易な樹脂製投げ込み式熱交換器の使用が適していますが、従来の樹脂製投げ込み式熱交換器は、熱交換性能が低いことなどから投資対効果が合わないことが多く、結果的に利用可能な流水の条件が限られ、熱利用が進んでいない状況です。

このような状況を踏まえて同社が開発したのが、熱交換ユニット「G-HEX」です。この「G-HEX」は、地下に埋設して地中熱を利用する形で活用をされてきた「G-カーペット」を水熱交換器として効果的に活用できるよう数年前のNEDOの研究開発を通じて研究開発・実証したもので、現状でも世界唯一の水熱交換器として使用されるようになりました。


◆既存熱交換器に比べ圧力損失約1/10にし、循環水ポンプなど運用コスト8割低減◆


従来の樹脂製投げ込み式熱交換器は100m以上の長い単管で構成されているため圧力損失が大きく、循環水用のポンプの循環水用のポンプの動力が大きくなる動力が大きくなるという課題がありました。

開発した熱交換ユニット「G-HEX」は、外径6mm、長さ3.8mの高密度ポリエチレン管117本で構成される柔軟性のあるシート状の熱交換器を採用していることで、従来の従来の樹脂製投げ込み式熱交換器と比べて圧力損失は約1/10にし、循環水ポンプ、循環水ポンプ動力に関わる運用コストを80%低減することができました。

また、水に空気を吹き込む技術(エアーレーション機構)を搭載することで熱交換の機能を大幅に向上しており、同じ内外温度差条件(内外温度差条件5℃)で、熱交換性能は11.3kW(エアレーション有)/5.5kW(エアーレーション無)と、従来の同目的の樹脂製投げ込み式熱交換器込み式熱交換器2.2kWに比べて5倍と高性能を確認しています。

熱交換性能が高まったことで単位熱交換能力あたりの費用を従来の樹脂製投げ込み式熱交換器の約込み式熱交換器の約1/2に低減を実現し、工場排水などの流水からの安価な熱回収を実現した点が大きなポイントになっています。

形状も「タンク式熱交換ユニット」や「バスケット型熱交換ユニット」、「平板式熱交換ユニット」などを用意し、場所の条件や用途等に応じて選ぶことが可能になっています。


◆バナナ園の栽培ハウス、工場廃水の排熱回収など広がる活躍の場◆


「G-HEX」は様々な施設で導入されるようになっていますが、具体的にはこれまでに、福島県広野市におけるバナナ園の栽培ハウス(https://geovalue-plus.themedia.jp/posts/36168197 )におけるオープンループ方式の熱交換器として活用されているほか、長野市の給食センターにおける温廃水の廃熱利用によるパッシブ方式融雪にも利用されています。

また、NEDOのベトナム事業(https://geovalue-plus.themedia.jp/posts/45507586 )では、工場の廃熱回収に実際に利用されるなど活躍の幅が広がりつつあります。

熱源となる井戸水や温泉廃水、工場排水等があれば建物の冷暖房はもちろん、ハウス栽培の加温・冷却融雪など幅広い分野で使用できる「G-HEX」は今後、さらに近年注目を集めている陸上養殖等での利用などでの利用も期待でき、展開が注目されそうです。

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山形県内初の「ZEBプランナー」(山形県内では現在6社が登録)に登録されている日本地下水開発株式会社(山形市松原777、桂木聖彦社長、略称:JGD)は、2021年から3年間実証してきた「高効率帯水層蓄熱によるトータル熱供給システム」について全期間で運用上でも年間のエネルギー収支が正味0%以下である『ZEB』達成を確認し、冬期の積雪により『ZEB』が難しいと言われている積雪寒冷地域での『ZEB』実現に大きな道筋をつけました。さらに、2024年度からはこれまでの研究成果を基にして複数の熱需要に対して面的に熱供給する高効率帯水層蓄熱システムに関する研究開発をスタートするとしており、注目されます。積雪寒冷地域での『ZEB』実現に大きな役割を果たすことが期待される「高効率帯水層蓄熱によるトータル熱供給システム」に焦点を当て紹介します。


◆年『ZEB』達成に寄与した「高効率帯水層蓄熱システム」とは◆


JGDが確立した「高効率帯水層蓄熱によるトータル熱供給システム」は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「再生可能エネルギー熱利用にかかるコスト低減技術開発」に基づいて実証したもので、積雪寒冷地域における建物の『ZEB』を実現するため2019年度から研究開発を進めてきたものです。

「高効率帯水層蓄熱によるトータル熱供給システム」のベースとなっている「高効率帯水層蓄熱システム」は、NEDO事業「再生可能エネルギー熱利用技術開発」(2014?2018年度)で先に確立した国内初のシステムで、2本の井戸を冬期と夏期で交互に利用し、地下水の流れの遅い地下帯水層に冬期の冷熱、夏期の温熱をそれぞれ蓄える仕組みです。

冷房利用で温められた地下水をさらに太陽熱で加温し、より高温となった温熱を冬期の暖房用井戸周辺の地下帯水層に蓄え、冬期はその温かい地下水を暖房用に利用。一方、暖房で利用して冷えた地下水をさらに融雪の熱源としても利用し、より低温となった冷熱を夏期の冷房用井戸周辺の帯水層に蓄え、夏期に冷房で利用します。

このシステムをJGD関連会社の事務所で空調に導入した結果、従来の帯水層蓄熱システム(3本の井戸を冷暖房の熱源として利用するシステム)と比較して初期導入コストの21%削減と年間運用コストの31%削減を達成するなど目覚ましい成果を上げています。

また、「再生可能エネルギー熱利用技術開発」では、熱利用後に地下に戻すのが難しかった地下水を全量還元できる井戸構築技術も確立しています。

「高効率帯水層蓄熱によるトータル熱供給システム」は、この「高効率帯水層蓄熱システム」をベースに、太陽光発電設備(30・7kW)、断熱効果を高めた外壁(厚さ300mm)、給湯回路に真空管式太陽熱温水器(84本)、換気装置に全熱交換システム、照明にLED照明、南西側の窓に太陽輻射熱を最大82%遮断する外付ブラインドを追加設置したシステムで、JGD関連会社である日本環境科学株式会社(山形市高木6、略称:JESC)ZEB棟(写真)で実証実験が行われました。


◆冷暖房・給湯・冬期の無散水融雪の3つの需要を満たす◆


「高効率帯水層蓄熱によるトータル熱供給システム」は、「冷暖房」・「給湯」・「冬期の無散水融雪」の計三つの熱需要に対応し、「再生可能エネルギー熱利用技術開発」で開発した冷暖房専用ヒートポンプに給湯回路を付加する形で、ゼネラルヒートポンプ工業と共同開発したヒートポンプ(冷房能力は30kW、暖房能力は30.1kW、給湯能力は30.2kW)を使用。「冷暖房」・「給湯」・「融雪」の3つの需要に対し高効率帯水層蓄熱システムで熱供給を行っています。

「高効率帯水層蓄熱によるトータル熱供給システム」の実証が行われたJESC-ZEB棟は、鉄骨造の地上2階建、建築面積285㎡、延床面積562・5㎡。2021年2月から2023年10月までの期間で運転開始してデータを収集。その結果、各年度の冬期運転と夏期運転のトータルエネルギー収支は、創エネで作られたエネルギー量が、省エネで削減したエネルギー量が消費電力量を上回る結果となり、全期間を通じて『ZEB』を達成しています。

蓄熱メリットとして需要側に有利な温度の地下水揚水が可能。地下水初期温度は16℃。例えば2021年度であれば、冷房開始時は事前の冷熱蓄熱でより冷たい温度(13.5℃)、暖房開始時は事前の温熱蓄熱でより温かい(22.8℃)の地下水が得られ、その後は蓄熱の消費(揚水量の累積)に伴い初期温度に向けて収束していくとしています。


◆夏期のフリークーリング等が大きなポイントに◆


◆夏期の無散水融雪システム運転や太陽熱温水器で冬期使用の温熱をプラスして蓄熱◆


3年に及ぶ実証運転の結果、大きなポイントとなる点をJGDは、夏期の冷房でヒートポンプを使わず地下水の冷熱だけで冷房するフリークーリングを行っている点及び給湯用に導入した真空管式太陽熱温水器で集めた熱を利用する点や通常は冬期に融雪で利用する「無散水融雪システム」を夏にも運転させて集めた温熱を冬期に暖房で使う井戸周辺の帯水層に貯めておく点を挙げています。

フリークーリングの効果については、フリークーリングのみで冷房を行った2021年度夏のシステムCOP(SCOP)が23・95だったのに対してヒートポンプ冷房を実施した22年度夏のSCOPが9・00となっています。さらに、フリークーリングとヒートポンプ冷房をそれぞれ実施した2023年度夏の結果によると、フリークーリングのSCOPが23・00、ヒートポンプ冷房のSCOPが8・74となっています。この結果、フリークーリングは、ヒートポンプによる冷房に比べるとおおむね3~5倍近く運転効率が高まっており、エネルギー消費削減効果の高さがうかがえます。なお、冬期暖房は各期ヒートポンプによる暖房運転を行っており、2020年度冬のSCOPが3・69、2021年度冬のSCOPが4・00、2022年度冬のSCOPが4・64となっています。

もう1つのポイントとして挙げている「無散水融雪システム」は、JGDが70年代から手掛けている融雪システムで、15℃程度の地下水を路面の下に設置したパイプに通すことで路面の雪を溶かしますが、実証では駐車スペースの融雪用に設置した「無散水融雪システム」を夏期にも稼働させ、路面の熱で温められた地下水を冬期用の井戸周辺の帯水層に蓄えています。なお、冬期には融雪で使って冷えた地下水を夏期に冷房で使う井戸周辺の帯水層に蓄え、こちらも暖房運転で生じた冷熱にプラスして冷熱を蓄え、夏期の冷房効率向上に寄与しているとしています。


◆帯水層蓄熱を柱とした再エネ熱の面的利用システムの研究開発にも着手◆


JGDは、これまでの研究を基にして複数の熱需要に対して面的に熱供給する高効率帯水層蓄熱システムに関する研究開発をスタートすることも決めています。

NEDOが2024年度から2028年度にかけて「再生可能エネルギー熱の面的利用システム構築に向けた技術開発」を実施しますが、JGDがゼネラルヒートポンプ工業株式会社とともに提案した「帯水層蓄熱を中心とした面的熱利用によるZEB及びZEH-Mの運用に係わる技術開発」が採択されました。

このNEDO事業は、再生可能エネルギー熱利用の導入拡大を目指すため、複数建物や熱負荷の大きい建築物の熱需要を、単一もしくは複数再エネ熱により大容量化した熱エネルギーで賄う冷暖房・給湯システム等に利用可能な技術開発を行うことでスケールメリットを活かした低コスト化を目指すもの。

「帯水層蓄熱を中心とした面的熱利用によるZEB及びZEH-Mの運用に係わる技術開発」の詳細は現在計画中ですが、単一建築物の年『ZEB』達成を可能にした高効率帯水層蓄熱システムが複数建物等における熱利用でのZEB化やZEH-M化にどのように寄与するのか、今後の研究開発にも注目が集まりそうです。


◆高効率帯水層蓄熱導入のポイント◆


なお、高効率帯水層蓄熱システム導入の条件としては、該当する地域の地下水の状況把握がカギとなります。JGDによると、この地下水の状況把握のためには、国立研究開発法人産業技術総合研究所(AIST)が津軽平野、秋田平野、仙台平野、山形盆地、郡山盆地の帯水層蓄熱システム適応マップを整備しており、このマップを活用するほか、マップ対象外の地域では地質・地下水の資料調査や実際に井戸を試掘して揚水注入調査を行うなどし、設計段階から適切なシステム構築を行える体制も整えているとしています。

JGDでは、「高効率帯水層蓄熱によるトータル熱供給システム」の対象について、東北地方を中心とした積雪寒冷地域を重点エリアとし、ZEB仕様建物の設計事務所や再生可能エネルギー熱の導入に積極的な設計者、環境意識が高い施主や設計者、CO2排出量削減意識が高い施主や設計者などをターゲットにしていきたいとしています。

また、対象施設については、建物面積500㎡~1,500㎡規模の建物で、特に24時間空調が必要な老健施設や診療所、庁舎や消防署等の防災拠点などが主なターゲットとしています。

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