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◆埼玉県環境科学国際センター内エコロッジで◆

「小規模地中熱利用勉強会」(幹事社:株式会社日さく、株式会社PEC)が4 月 21 日(月)14:30~16:30、埼玉県環境科学国際センター内エコロッジ(埼玉県加須市上種足 914)で開かれます。

「地中熱を利用したきくらげ栽培事業の現状と今後の事業展開」(仮)をテーマに株式会社PECの遠藤康之氏が講演するほか、株式会社PECが取り組む地中熱を利用したきくらげ栽培事業の地中熱利用システムの地下水温度変化などを解析する株式会社日さくの高橋直人氏が地下水温度の変化などについて報告する予定としています。

また、埼玉県環境科学国際センターで地中熱利用に関する研究を行っている濱元栄起氏が、埼玉県環境科学国際センターが取り組む地中熱利用の研究成果などを講演し、その後、参加者と意見交換会を行うとしています。

勉強会は通常、会参加企業等のみの参加ですが、今回は一般の参加も可能。

参加無料。定員は先着順20名(定員になり次第締め切り)となっています。

参加希望者はタイトルに「小規模地中熱利用勉強会参加希望」を明記の上、本文に社名、参加者名、参加者数等を記載し、info@pecbor.cc までメールで申し込み。

「広報『地中熱』」でも紹介している株式会社PECが取り組む「地中熱を利用したきくらげ栽培事業」がこのほど、テレビ埼玉の番組「埼玉ビジネスウオッチ」で紹介されました。

地元・桶川市でも期待が高まっていることが番組から伝わってきており、今後の展開が注目されます。

その動画がテレビ埼玉「埼玉ビジネスウオッチ」のホームページでも掲載され、動画を見ることができます。

リンク先は、株式会社PEC社のブログからご覧ください!☟

◆老朽化下水道管路陥没事故で考える再生可能エネルギー熱利用◆

 八潮市での下水道管老朽化陥没事故を見て、新聞記者時代に取材していたことをいろいろ思い出しています。私はかつて環境専門紙記者時代に下水道分野も担当しており、下水道管路の老朽化問題も大きな取材テーマでした。

下水道分野の担当を始めた2001年当時から下水道事業では管路の老朽化は大きな問題でした。路面陥没事故も規模は大きくなくとも全国で3000件程度起きていました。

◆老朽管対策の工法で下水の熱を回収する技術◆

そんな状況下、2010年代に入ると老朽管の更生工法を利用した下水熱利用システムが登場し、私は老朽管対策の切り札のひとつが「これだ!」と思いました。

単純に下水道管の改築更新をしていくにはあまりにも膨大な延長距離があり、予算的にも厳しい状況でしたが、空調や給湯の熱源として下水熱が利用でき、老朽管対策も進むのならこんな素晴らしいことはありません。

下水道事業者は、熱供給事業者として利用者から施設管理費や使用熱量を収入として得ることができれば、積極的に更生工事を行える土壌が出来上がる…そう考えていました。

当時、下水道部局もかなり頑張って利用しやすいように工夫はしてきましたが、やはり民間が手続きも簡単に行え、容易に使えるようにまではなっておらず、結局、地中熱に比べても使いにくい熱源のままです。

今後、下水道事業者の収益が上がる仕組み、エンドユーザーがとても簡単に使える仕組みができれば…老朽管対策は今よりは早くスムーズに進むのではないかと考えています。

下水道事業者だけだと従来の制度等にどうしても引っ張られる傾向があると思うので、再生可能エネルギー熱利用を推進する側等が下水熱の利用が老朽管対策の加速に繋がる可能性が高いことを積極的に働きかけていくようなことも重要な気がします。

繰り返しになりますが、下水道等の地下インフラの老朽化はかなり深刻な状況です。その問題が再エネ熱利用で解消されるのであればこんなに良い方法はないと思っています。

〈エコビジネスライター・名古屋悟(ECO SEED代表)~※元・環境新聞記者〉

※この記事は電子専門紙「Geo Value」Vol.214 編集後記で掲載したものです。


「広報『地中熱』」でも紹介しました株式会社PECが取り組む「地中熱を利用したきくらげ栽培事業」がこのほど、テレビ埼玉の取材を受け、テレビで放送されることになったようです。

番組名は、「埼玉ビジネスウォッチ」(https://www.teletama.jp/sbw/ )で放送日時は2025年3月1日(土) 21:30〜22:00の予定とのことです。

同社ではすでに自社で栽培している「きくらげ」の販売も開始し、大変好評とのことです。

自社でのきくらげ栽培はもちろんのこと、地中熱を利用した作物栽培システムの導入希望者にもシステムを提供していく考えで、今回のテレビ放送を契機に今後の展開が注目されそうです。

ゼネラルヒートポンプ工業代表取締役・柴芳郎氏 記念インタビュー


地中熱をはじめとした再生可能エネルギー熱(再エネ熱)のヒートポンプ利用に積極的に取り組んできたゼネラルヒートポンプ工業株式会社(名古屋市中村区名駅2-45-14東進名駅ビル7F、代表取締役:柴芳郎)が2024年11月に創業40周年を迎えました。2050年ゼロカーボンの実現に向け、再生可能エネルギーの利用やさらなる省エネ化に大きな関心が集まっている中、再エネ熱や未利用熱を効果的に利用し、一次エネルギー消費量のさらなる削減に効果を発揮するヒートポンプへの期待も高まっています。再エネ熱利用における同社のこれまでの取り組みやヒートポンプの役割、今後の展望等について同社代表取締役・柴芳郎氏(写真)に話を聞きました。(エコビジネスライター・名古屋悟)

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◆排熱回収型ヒートポンプの開発から40年◆

――再エネ熱のヒートポンプ利用への関心が高まっている中、創業40周年おめでとうございます。

「2024年11月におかげさまで創業40周年を迎えました。1984年に冷房と給湯を同時に行う排熱回収型ヒートポンプの先駆者である創業者・柴芳富が創業して以来、業務用に対応した地下水熱や地中熱、空気熱等を熱源とするヒートポンプを多数製作し、世に送り出してきました。

2000年には、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)国際共同研究事業に参画し、中国長春市に地中熱交換器を用いたクローズドループの地中熱ヒートポンプを初めて納めて以来、国内の多くの施設でクローズドループの地中熱ヒートポンプも導入頂いています。

年間を通して温度差が少なく、夏は外気より冷たく、冬は外気より温かい地中や地下水の温度を冷暖房などの熱源としてヒートポンプで必要な温度にコントロールして利用するシステムは、再エネ熱利用であると同時に消費電力を大幅に低減する省エネシステムになります。また、使用後に捨てていた排熱を再利用する際にもヒートポンプはその熱を増幅させて利用することができ、無駄のないシステムを構築することができます。

地中熱や地下水熱は冷暖房、給湯、消融雪に、温泉熱などは給湯や加温、床暖房、消融雪などに利用でき、いずれも従来のシステムよりも化石資源由来のエネルギー消費量がないまたはとても少なく、温室効果ガス(CO2)排出量を大幅に抑制することができます。

事務所、庁舎、病院、福祉施設、教育施設、工場、宿泊施設等に加え、近年では農業施設等での利用も注目されており、今後も幅広い分野で役立つものと考えています」

◆2024年度省エネ大賞を共同で受賞◆

――2024年度省エネ大賞では、省エネ事例部門資源エネルギー庁長官賞(ZEB/ZEH分野)を受賞しましたが、これも再生可能エネルギーを活用した事例ですね。

「株式会社日建設計及び常盤工業株式会社、ピーエス株式会社、富士エネルギー株式会社とともに取り組んだ『自然エネルギーを活用したパッシブ型ZEBオフィスの取り組み』が評価されました。

この取り組みは、常盤工業株式会社(静岡県浜松市)が本社ビル建て替え(上写真:ゼネラルヒートポンプ工業㈱提供)に際し、設計会社等から知見を得ながら徹底した自然熱利用や空調設計等により、地産地消型のZEBを目指し達成した省エネの取り組みです。

『除湿型放射冷暖房による高効率な空調システム』や『放射冷暖房機とRC躯体蓄熱の相乗効果による室内温度の安定化』、『豊富な井水、晴天率の高い太陽熱を活用した高効率熱源システム』などを効果的に組み合わせたもので、汎用技術を組合せることで大きな省エネ効果を創出した事例になります。

1次エネルギー削減の実績は、コンセントなどを除き基準の73%減となる339MJ/㎡年。太陽光込みでは-104%となり、完全『ZEB』を達成しています。

当社は井水を利用するヒートポンプシステム(下写真:ゼネラルヒートポンプ工業㈱提供)で参画していますが、ヒートポンプはピーク時のみに使用する設計とし、通常はフリークーリング(ヒートポンプを動かさずに井水の冷熱で冷房)およびフリーヒーティング(ヒートポンプを動かさずに太陽熱で暖房)をベースとしていることで大きな省エネ効果を発揮しています。

こちらの施設では、見学会などZEB普及拡大の活動も積極的に行っている点が特長となっています。

このほかにも省エネ大賞では、2011年度には「洗浄工程用ヒートポンプ」で資源エネルギー庁長官賞(産業分野)、2017年度には「透析熱回収ヒートポンプ」(当社・株式会社ウォーターテクノカサイ・日機装株式会社)で省エネルギーセンター会長賞(製品・ビジネスモデル部門)を受賞しています。

省エネ大賞以外にも文部科学大臣表彰などさまざまな賞を受賞させていただいています」

※受賞歴は同社HPの以下URLを参照。

https://www.zeneral.co.jp/corporateinfo/jyusyoureki.html

◆多様な熱源を生かすノウハウ◆

――これまで再エネ熱ヒートポンプ利用で多くの実績を残されています。

「当社では創業当初から手がけている排熱や近年、導入が進む地中熱や地下水熱だけでなく、温泉排湯熱、下水熱、空気熱、さらには人工透析の透析熱、産業廃棄物の最終処分場における浸出水の熱のなど多様な熱源を生かしたシステムを手掛けてきた実績があります。

例えば透析熱の事例は、2018年に竣工したクリニックに導入したもので、人工透析治療で使用された透析排液やRO濃縮水を熱源とした水冷式ヒートポンプとインバータ技術を駆使してRO原水を加温することで、従来設備(電気ヒーター等)の稼働率を削減し、大きな節電効果・CO₂削減を実現するシステムになっています。今まで使わずに捨てていたエネルギーを生かして一層の省エネを実現することができる事例です。

当社では、1984年創業から2024年度までに国内外で1000件以上の納入実績があり、現在では、地中熱・温泉など再エネ熱利用分野での業務用ヒートポンプで業界をリードしていると自負しています。

当社ホームページにて納入実績(https://www.zeneral.co.jp/nounyuu_jirei )も紹介していますので、ご参考にしていただければ幸いです」

◆ZEB達成に役立つ再エネ熱利用ヒートポンプ◆

――新築の建築物ではZEB化を目指す動きも加速しています。ZEB達成において再生可能エネルギー熱のヒートポンプ利用の役割も今後さらに大きくなると考えますが。

「近年は、政府の2050年ゼロカーボンの目標達成に向け、ZEB等の普及拡大が急務となっていますが、ZEB達成において地中熱はじめとした再エネ熱、未利用熱を利用するヒートポンプシステムは、一次エネルギー消費量削減の大きなひと押しとなるものです。

立地する地域で最も効果的な熱源を選択し、組み合わせることで効果的なシステムを構築することができます。

当社では先ほど省エネ大賞で紹介したケースのほかにも、帯水層蓄熱システムに太陽熱などを組み合わせてZEBを達成した事例など実績を多数有しています。ZEBを目指している方はぜひご相談ください。

なお、当社ではヒートポンプシステムの運転状況や消費した電力量、温度表示などをリアルタイムで把握できる熱源制御・監視システム『ZEOS®(Zeneral Energy Operation/Observation System)』(https://www.zeneral.co.jp/ZEOSr )も開発し、提供しています。エネルギーの『見える化』を実現するもので、デマンド制御やスケジュール機能などが可能で、省エネルギー・省コスト効果を助長します。ZEBにおける実運転において運転管理の効率化にもつながるシステムになっています」

◆さらなる認知度向上が課題…◆

――効果の大きな再生可能エネルギー熱利用ですが、さらなる普及に向けて必要なことと感じていることはありますか?

「業界団体の積極的な啓発活動があり、地方公共団体や建築設計の業界における知名度は飛躍的に伸びたと感じています。このため、庁舎やZEB達成を目指す建物などにおいて再生可能エネルギー熱の導入が増えてきています。

一方でエンドユーザーとなる方々にはいまだにあまり知られていないのが実情だと感じており、積極的な普及啓発活動は今後も必要だと考えています。

手前みそになりますが、四半世紀にわたり地中熱、温泉熱、太陽熱などの利用方法を研究してきたノウハウを生かし、書籍『再生可能エネルギー熱』(幻冬舎:著者・柴芳郎)を昨年6月に上梓しました。発電よりも効率的な熱利用は社会に大きなメリットを生み、省エネルギーと省コストに大きく貢献できること示しており、再生可能エネルギー熱の重要性と有効性を知っていただくことで、ネットゼロエネルギー・ネットゼロカーボンにつながる一冊になっていると思います。

全国の書店(三省堂/丸善/ジュンク堂/紀伊国屋等)で購入できるほか、Amazon(https://www.amazon.co.jp/%E5%86%8D%E7%94%9F%E5%8F%AF%E8%83%BD%E3%82%A8%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E7%86%B1-RENEWABLE-HEAT-%E6%9F%B4-%E8%8A%B3%E9%83%8E/dp/4344948041?source=ps-sl-shoppingads-lpcontext&ref_=fplfs&ref_=fplfs&psc=1&smid=AN1VRQENFRJN5)でも購入可能ですので、ぜひご一読いただき、再生可能エネルギー熱のヒートポンプ利用について知っていただければと思っています」

◆新年度には新製品の販売も開始へ◆

――これからに向けた抱負をお聞かせください。

「省エネルギーによるエネルギー自給率向上という日本の課題に加えて、地球温暖化防止という世界の課題を背景に、業務・産業分野において、多種多様な未利用熱源の有効活用が求められています。こうした課題に対し、これからも当社技術が貢献できるものと確信しています。

ヒートポンプシステムは、冷熱や温熱を作るための生活に欠かせない技術であるとともに、再生可能エネルギー熱や未利用熱は今後の地球環境保護のためにも大切な技術です。それらを組み合わせたヒートポンプシステムは将来の可能性に満ちています。これからもさらなる省エネルギーと利便性を追求し、環境価値の高い製品を提供していきます。

2025年度には、オゾン層を破壊せず地球温暖化係数(GEP)の低いハイドロフルオロオレフィン(HFO)系の次世代低GWP冷媒であるR513Aを使用した高温型水冷式ヒートポンプ、従来のR410Aに比べてGWPが1/3以下となるR32を使用した水冷式ビル用マルチも販売を開始する予定です。

ヒートポンプのパイオニアとして、ヒートポンプの専業メーカーとして、引き続き『技術革新・環境価値・社会貢献』を経営理念に、人と地球に優しい製品開発に努めてまいります」

――お忙しい中、ありがとうございました。御社が展開する再エネ熱を利用したヒートポンプシステムのさらなる普及が進むことを願っています。 (了)

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【NPO法人地中熱利用促進協会20周年記念特集】


地中熱を中心とした再生可能エネルギー熱利用システムのコンサルティングや資機材販売を手掛けているジオシステム株式会社(東京都練馬区関町北3-39−17、高杉真司社長)では、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)事業における研究開発で、工場排水や温泉水などの流水(流れる水)が持つ再生可能エネルギー熱の利用に特化した樹脂製投げ込み式熱交換ユニット(商品名:G-HEX)を開発し、商品化して各所で実績を伸ばしています。


◆NEDO事業で開発したメンテナンス性に優れた熱交換ユニット◆


昨今、2050年脱炭素化に向けてエネルギー利用効率の向上に向けて熱の効率的な利用が重要と認識されており、再生可能エネルギー熱が重要な役割を果たす可能性があると位置付けられています 。しかしながら、再生可能エネルギー熱利用は、導入コストや運用コストの高さが課題となり、まだ、十分に普及していません。

こうした中、工場排水や温泉水などの流水(流れる水)は比較的利用しやすい再生可能エネルギー熱として期待されていますが、さまざまな異物な異物やスケールを生じる化学成分やスケールを生じる化学成分が含まれる可能性が高いことが課題となっています。このため、腐食に強く、メンテナンスが容易な樹脂製投げ込み式熱交換器の使用が適していますが、従来の樹脂製投げ込み式熱交換器は、熱交換性能が低いことなどから投資対効果が合わないことが多く、結果的に利用可能な流水の条件が限られ、熱利用が進んでいない状況です。

このような状況を踏まえて同社が開発したのが、熱交換ユニット「G-HEX」です。この「G-HEX」は、地下に埋設して地中熱を利用する形で活用をされてきた「G-カーペット」を水熱交換器として効果的に活用できるよう数年前のNEDOの研究開発を通じて研究開発・実証したもので、現状でも世界唯一の水熱交換器として使用されるようになりました。


◆既存熱交換器に比べ圧力損失約1/10にし、循環水ポンプなど運用コスト8割低減◆


従来の樹脂製投げ込み式熱交換器は100m以上の長い単管で構成されているため圧力損失が大きく、循環水用のポンプの循環水用のポンプの動力が大きくなる動力が大きくなるという課題がありました。

開発した熱交換ユニット「G-HEX」は、外径6mm、長さ3.8mの高密度ポリエチレン管117本で構成される柔軟性のあるシート状の熱交換器を採用していることで、従来の従来の樹脂製投げ込み式熱交換器と比べて圧力損失は約1/10にし、循環水ポンプ、循環水ポンプ動力に関わる運用コストを80%低減することができました。

また、水に空気を吹き込む技術(エアーレーション機構)を搭載することで熱交換の機能を大幅に向上しており、同じ内外温度差条件(内外温度差条件5℃)で、熱交換性能は11.3kW(エアレーション有)/5.5kW(エアーレーション無)と、従来の同目的の樹脂製投げ込み式熱交換器込み式熱交換器2.2kWに比べて5倍と高性能を確認しています。

熱交換性能が高まったことで単位熱交換能力あたりの費用を従来の樹脂製投げ込み式熱交換器の約込み式熱交換器の約1/2に低減を実現し、工場排水などの流水からの安価な熱回収を実現した点が大きなポイントになっています。

形状も「タンク式熱交換ユニット」や「バスケット型熱交換ユニット」、「平板式熱交換ユニット」などを用意し、場所の条件や用途等に応じて選ぶことが可能になっています。


◆バナナ園の栽培ハウス、工場廃水の排熱回収など広がる活躍の場◆


「G-HEX」は様々な施設で導入されるようになっていますが、具体的にはこれまでに、福島県広野市におけるバナナ園の栽培ハウス(https://geovalue-plus.themedia.jp/posts/36168197 )におけるオープンループ方式の熱交換器として活用されているほか、長野市の給食センターにおける温廃水の廃熱利用によるパッシブ方式融雪にも利用されています。

また、NEDOのベトナム事業(https://geovalue-plus.themedia.jp/posts/45507586 )では、工場の廃熱回収に実際に利用されるなど活躍の幅が広がりつつあります。

熱源となる井戸水や温泉廃水、工場排水等があれば建物の冷暖房はもちろん、ハウス栽培の加温・冷却融雪など幅広い分野で使用できる「G-HEX」は今後、さらに近年注目を集めている陸上養殖等での利用などでの利用も期待でき、展開が注目されそうです。

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【NPO法人地中熱利用促進協会20周年記念】


山形県内初の「ZEBプランナー」(山形県内では現在6社が登録)に登録されている日本地下水開発株式会社(山形市松原777、桂木聖彦社長、略称:JGD)は、2021年から3年間実証してきた「高効率帯水層蓄熱によるトータル熱供給システム」について全期間で運用上でも年間のエネルギー収支が正味0%以下である『ZEB』達成を確認し、冬期の積雪により『ZEB』が難しいと言われている積雪寒冷地域での『ZEB』実現に大きな道筋をつけました。さらに、2024年度からはこれまでの研究成果を基にして複数の熱需要に対して面的に熱供給する高効率帯水層蓄熱システムに関する研究開発をスタートするとしており、注目されます。積雪寒冷地域での『ZEB』実現に大きな役割を果たすことが期待される「高効率帯水層蓄熱によるトータル熱供給システム」に焦点を当て紹介します。


◆年『ZEB』達成に寄与した「高効率帯水層蓄熱システム」とは◆


JGDが確立した「高効率帯水層蓄熱によるトータル熱供給システム」は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「再生可能エネルギー熱利用にかかるコスト低減技術開発」に基づいて実証したもので、積雪寒冷地域における建物の『ZEB』を実現するため2019年度から研究開発を進めてきたものです。

「高効率帯水層蓄熱によるトータル熱供給システム」のベースとなっている「高効率帯水層蓄熱システム」は、NEDO事業「再生可能エネルギー熱利用技術開発」(2014?2018年度)で先に確立した国内初のシステムで、2本の井戸を冬期と夏期で交互に利用し、地下水の流れの遅い地下帯水層に冬期の冷熱、夏期の温熱をそれぞれ蓄える仕組みです。

冷房利用で温められた地下水をさらに太陽熱で加温し、より高温となった温熱を冬期の暖房用井戸周辺の地下帯水層に蓄え、冬期はその温かい地下水を暖房用に利用。一方、暖房で利用して冷えた地下水をさらに融雪の熱源としても利用し、より低温となった冷熱を夏期の冷房用井戸周辺の帯水層に蓄え、夏期に冷房で利用します。

このシステムをJGD関連会社の事務所で空調に導入した結果、従来の帯水層蓄熱システム(3本の井戸を冷暖房の熱源として利用するシステム)と比較して初期導入コストの21%削減と年間運用コストの31%削減を達成するなど目覚ましい成果を上げています。

また、「再生可能エネルギー熱利用技術開発」では、熱利用後に地下に戻すのが難しかった地下水を全量還元できる井戸構築技術も確立しています。

「高効率帯水層蓄熱によるトータル熱供給システム」は、この「高効率帯水層蓄熱システム」をベースに、太陽光発電設備(30・7kW)、断熱効果を高めた外壁(厚さ300mm)、給湯回路に真空管式太陽熱温水器(84本)、換気装置に全熱交換システム、照明にLED照明、南西側の窓に太陽輻射熱を最大82%遮断する外付ブラインドを追加設置したシステムで、JGD関連会社である日本環境科学株式会社(山形市高木6、略称:JESC)ZEB棟(写真)で実証実験が行われました。


◆冷暖房・給湯・冬期の無散水融雪の3つの需要を満たす◆


「高効率帯水層蓄熱によるトータル熱供給システム」は、「冷暖房」・「給湯」・「冬期の無散水融雪」の計三つの熱需要に対応し、「再生可能エネルギー熱利用技術開発」で開発した冷暖房専用ヒートポンプに給湯回路を付加する形で、ゼネラルヒートポンプ工業と共同開発したヒートポンプ(冷房能力は30kW、暖房能力は30.1kW、給湯能力は30.2kW)を使用。「冷暖房」・「給湯」・「融雪」の3つの需要に対し高効率帯水層蓄熱システムで熱供給を行っています。

「高効率帯水層蓄熱によるトータル熱供給システム」の実証が行われたJESC-ZEB棟は、鉄骨造の地上2階建、建築面積285㎡、延床面積562・5㎡。2021年2月から2023年10月までの期間で運転開始してデータを収集。その結果、各年度の冬期運転と夏期運転のトータルエネルギー収支は、創エネで作られたエネルギー量が、省エネで削減したエネルギー量が消費電力量を上回る結果となり、全期間を通じて『ZEB』を達成しています。

蓄熱メリットとして需要側に有利な温度の地下水揚水が可能。地下水初期温度は16℃。例えば2021年度であれば、冷房開始時は事前の冷熱蓄熱でより冷たい温度(13.5℃)、暖房開始時は事前の温熱蓄熱でより温かい(22.8℃)の地下水が得られ、その後は蓄熱の消費(揚水量の累積)に伴い初期温度に向けて収束していくとしています。


◆夏期のフリークーリング等が大きなポイントに◆


◆夏期の無散水融雪システム運転や太陽熱温水器で冬期使用の温熱をプラスして蓄熱◆


3年に及ぶ実証運転の結果、大きなポイントとなる点をJGDは、夏期の冷房でヒートポンプを使わず地下水の冷熱だけで冷房するフリークーリングを行っている点及び給湯用に導入した真空管式太陽熱温水器で集めた熱を利用する点や通常は冬期に融雪で利用する「無散水融雪システム」を夏にも運転させて集めた温熱を冬期に暖房で使う井戸周辺の帯水層に貯めておく点を挙げています。

フリークーリングの効果については、フリークーリングのみで冷房を行った2021年度夏のシステムCOP(SCOP)が23・95だったのに対してヒートポンプ冷房を実施した22年度夏のSCOPが9・00となっています。さらに、フリークーリングとヒートポンプ冷房をそれぞれ実施した2023年度夏の結果によると、フリークーリングのSCOPが23・00、ヒートポンプ冷房のSCOPが8・74となっています。この結果、フリークーリングは、ヒートポンプによる冷房に比べるとおおむね3~5倍近く運転効率が高まっており、エネルギー消費削減効果の高さがうかがえます。なお、冬期暖房は各期ヒートポンプによる暖房運転を行っており、2020年度冬のSCOPが3・69、2021年度冬のSCOPが4・00、2022年度冬のSCOPが4・64となっています。

もう1つのポイントとして挙げている「無散水融雪システム」は、JGDが70年代から手掛けている融雪システムで、15℃程度の地下水を路面の下に設置したパイプに通すことで路面の雪を溶かしますが、実証では駐車スペースの融雪用に設置した「無散水融雪システム」を夏期にも稼働させ、路面の熱で温められた地下水を冬期用の井戸周辺の帯水層に蓄えています。なお、冬期には融雪で使って冷えた地下水を夏期に冷房で使う井戸周辺の帯水層に蓄え、こちらも暖房運転で生じた冷熱にプラスして冷熱を蓄え、夏期の冷房効率向上に寄与しているとしています。


◆帯水層蓄熱を柱とした再エネ熱の面的利用システムの研究開発にも着手◆


JGDは、これまでの研究を基にして複数の熱需要に対して面的に熱供給する高効率帯水層蓄熱システムに関する研究開発をスタートすることも決めています。

NEDOが2024年度から2028年度にかけて「再生可能エネルギー熱の面的利用システム構築に向けた技術開発」を実施しますが、JGDがゼネラルヒートポンプ工業株式会社とともに提案した「帯水層蓄熱を中心とした面的熱利用によるZEB及びZEH-Mの運用に係わる技術開発」が採択されました。

このNEDO事業は、再生可能エネルギー熱利用の導入拡大を目指すため、複数建物や熱負荷の大きい建築物の熱需要を、単一もしくは複数再エネ熱により大容量化した熱エネルギーで賄う冷暖房・給湯システム等に利用可能な技術開発を行うことでスケールメリットを活かした低コスト化を目指すもの。

「帯水層蓄熱を中心とした面的熱利用によるZEB及びZEH-Mの運用に係わる技術開発」の詳細は現在計画中ですが、単一建築物の年『ZEB』達成を可能にした高効率帯水層蓄熱システムが複数建物等における熱利用でのZEB化やZEH-M化にどのように寄与するのか、今後の研究開発にも注目が集まりそうです。


◆高効率帯水層蓄熱導入のポイント◆


なお、高効率帯水層蓄熱システム導入の条件としては、該当する地域の地下水の状況把握がカギとなります。JGDによると、この地下水の状況把握のためには、国立研究開発法人産業技術総合研究所(AIST)が津軽平野、秋田平野、仙台平野、山形盆地、郡山盆地の帯水層蓄熱システム適応マップを整備しており、このマップを活用するほか、マップ対象外の地域では地質・地下水の資料調査や実際に井戸を試掘して揚水注入調査を行うなどし、設計段階から適切なシステム構築を行える体制も整えているとしています。

JGDでは、「高効率帯水層蓄熱によるトータル熱供給システム」の対象について、東北地方を中心とした積雪寒冷地域を重点エリアとし、ZEB仕様建物の設計事務所や再生可能エネルギー熱の導入に積極的な設計者、環境意識が高い施主や設計者、CO2排出量削減意識が高い施主や設計者などをターゲットにしていきたいとしています。

また、対象施設については、建物面積500㎡~1,500㎡規模の建物で、特に24時間空調が必要な老健施設や診療所、庁舎や消防署等の防災拠点などが主なターゲットとしています。

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【NPO法人地中熱利用促進協会20周年記念】


今回紹介するのは、2020年(令和2年)1月に生涯学習館、体育館を主体として町民の文化及び交流の促進、体力増進を目的として建設された山梨県市川三郷町の「市川三郷町生涯学習センター」(通称:ifセンター:市川三郷町市川大門1437-1)です。敷地内に以前からあった自噴する井戸水を熱源として活用した空調システムなどを導入。省エネ化を実現している施設として注目されています。

◆既存の自噴井戸を熱源として利用◆

ifセンターが所在する市川三郷町は、2005年(平成17年)10月1日に西八代郡市川大門町・三珠町・六郷町が合併して誕生した自治体。合併前の旧市川大門町は豊富な地下水を利用した紙の町として製紙業が盛んな地域で、現在も和紙の生産地でもあります。

ifセンターは製紙工場の跡地を町が購入した場所に設けられ、敷地内には自噴井戸が3本ありましたが、当初はこの井戸水の利用はトイレ用水や雑用水として検討されていました。

この自噴井戸は合計すると毎分1,000リットルを優に超える豊富な水量があるため、施工に関わった事業者がトイレ用水以外の有効活用方法として、エネルギー利用を提案。昔から地下水が豊富な地域で井戸があったことや製紙工場で井戸水が使用されていたことは地元でよく知られており、井戸水を使用することについて地元や議会からの反対はなく、むしろ地元資源の活用という点で歓迎されたほか、環境省の補助事業にも採択され、設備導入費等の課題もクリアできたことから導入が決定しました。

Ifセンターの全体概要を見ると、施設は鉄筋コンクリート造二階建て一部鉄骨造。敷地面積は13,539.07㎡、床面積6,393.20㎡、建築面積4,354.68㎡で生涯学習館(研修室等)や町立図書館、体育館などで構成されています。

◆町立図書館の空調に利用◆

自噴井戸水利用システムは、町立図書館の室内空調(冷暖房)に利用されています。熱源である自噴井戸からの水を自然勾配で地下に設けた井水槽へ導き、この水を熱交換器に送水して冷暖房の熱源として利用。ヒートポンプは冷房能力67kW/暖房能力77.5kWとなっています。地下水槽には常に自噴水が流入するため水温はほぼ一定であるほか、井戸ポンプの動力が必要ないためシステムCOPが高いのも特徴です

◆熱利用後の水はトイレや散水などにカスケード利用◆

熱交換後の井水は貯水槽に貯めてトイレ用水や敷地内の樹木などへの散水用に利用するなど水資源のカスケード利用という点でも注目されます。また、各水槽からオーバーフローする水は水路に放流し下流域の農業利用に役立っている点もポイントと言えます。

総事業費は、約3,985万円(うち補助額2,074万円、補助率2/3)となっています。

◆温室効果ガス削減効果は約31.3t-CO2/年◆

導入効果を見ると、温室効果ガス削減効果は約31.3t-CO2/年となっており、導入前後のCO2削減率は86%となっています。

なお、室内機を設置した図書館の閲覧エリアにはガスヒートポンプも併設されています。これは総負荷を地中熱ヒートポンプだけで賄うとシステムに掛かる費用が嵩むため、補助的に導入しているものですが、実際に施設が稼働すると全負荷運転となる期間は極めて短く、通常はランニングコストの低い自噴井戸システムだけで運転され、ガスヒートポンプエアコンが運転するのは冬季の延べで2週間程度となっているようです。

地下水の熱利用では井戸の掘削費やポンプの設置などコストが割高になることが課題と言われていますが、既存の井戸を利用していることなどから初期コストを抑えることができている点もポイントです。

これは、既設の井戸がありプラスマイナス3℃前後の井戸水の温度変化が許容されうるケースで水質や水量等も十分であれば、初期費用を抑えつつ効率的なシステムの構築が期待できることを示していると言えそうです。

このシステムを提案した山梨県地中熱利用推進協議会では、「山梨県内でも地下水の保全のため井戸の設置に規制を設ける自治体が多い中で、既にある井戸を利用した省エネ策の一環として、会員のデータや知見を活かし井水の物理利用と併せた熱利用を提案し地域のエネルギーの課題解決の一助とすることを図って参りたいと考えます」と述べており、ifセンターの事例を柱に今後、既設井戸を利用した空調システムの普及、一層の省エネ化へ期待が集まります。

市川三郷町生涯学習センターホームページは以下URLを参照してください。

https://www.town.ichikawamisato.yamanashi.jp/20life/ifcenter/ 

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【NPO法人地中熱利用促進協会20周年記念】

笹田政克理事長に聞く「これまでの地中熱とこれからの地中熱」
脱炭素化に向け「地中熱ロードマップ」を改定


地中熱利用の普及拡大に向けて取り組んできたNPO法人地中熱利用促進協会が2024年度、設立20周年を迎えました。10月17日には設立20周年記念シンポジウムも開かれる中、脱炭素社会の実現に向けて高い省エネ効果が期待される一方、知名度の低さやコスト等の課題も指摘されている地中熱利用をどのように広げていく考えなのか。先般協会として地中熱の今後の拡大方針を盛り込む地中熱ロードマップを改定したNPO法人地中熱利用促進協会の笹田政克理事長に話を聞きました。(ECO SEED代表・名古屋悟<エコビジネスライター>)


◆これまで20年の協会活動◆

政策提言やセミナーなど広報啓発活動を通じて自治体等における認知度は飛躍的に向上


――地中熱利用の普及拡大に向けて取り組まれてきたNPO法人地中熱利用促進協会が設立から20年を迎えました。活動を振り返ってポイントと思うことは何でしょうか?

「協会活動を続けてきた今、『継続は力』ということを噛みしめています。現在、協会活動で中核を担っている会員企業は協会設立初期から活動している企業が多く、各社において地中熱を事業の基盤として位置づけ活躍されています。会員が積極的な活動を継続してきたことは20年で一番大きな成果と言っても過言ではありません。この場を借りて会員の皆様には感謝申し上げます。

さて、協会の具体的な活動としては、認知度の向上やコストなどの課題に取り組んでまいりました。

認知度の向上という点では、私が理事長に就任した15年前、地中熱利用は自治体においてもほとんど知られていない状態でしたが、地道に広報啓発活動を続けてきた結果、この10年ほどで自治体関係部署における認知度は飛躍的に向上したと感じています。セミナーやシンポジウム、全国地中熱フォーラムなどのほか、政策提言等の活動も行っており、こうした活動の結果、脱炭素化に向けて地中熱利用も含めた支援策を講じている環境省、技術的な面で重要性を認識していただき、技術開発に注力していただいている国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)をはじめとした行政関係各方面にご理解いただけるようになったと思っています。建物や施設整備の補助金を有する国土交通省や農林水産省等とも協力関係とも築いてきましたが、今後はより強固な関係を築けるように取り組めればと思っています。一方、一般での認知度については残念ながらいまだに低いと言わざるを得ない状況であり、引き続きの課題だと思っています。

導入コストについても従来から課題と指摘され、コスト低減に向けた技術開発等の取り組みが行われてきましたが、低コスト化には普及件数が増えることが重要だと考えています。主力の地中熱ヒートポンプシステムを見ると、2021年度末までに3,218件で導入されています(環境省:令和4度地中熱利用状況調査結果)。この数年を見ると概ね年間100件程度の増加で推移していますが、地中熱ヒートポンプは受注生産であるほか、ボアホール(熱交換井)工事等で使う掘削機も現在の稼働状況ではさらなる低コスト化が難しいのが実情だと感じています。低コスト化を図るためにも、市場拡大はこれからも大きな課題だと認識しています。

また、技術的な信頼性を高めるための活動も成果をあげてきたと思っています。技術資料として『地中熱ヒートポンプシステム施工管理マニュアル』『一定加熱・温水循環方式熱応答試験(TRT)技術書』や『オープンループ導入ガイドライン』等を整備したほか、資格制度として『地中熱施工管理技術者』(1級、2級)を創設してきました。『地中熱施工管理技術者』の受験者に向けた『地中熱講座』(基礎、設計、施工管理)も充実させ、現在では1級、2級それぞれ100名程が資格認定者として登録しています。TRT技術書の関連でも『TRT装置認定制度』を設け、17件が認定を受けています。技術基盤を整備してきたことで地中熱利用の際の信頼度が高まったと思っています。

このほか、省エネ基準関連でも、ネット・ゼロ・エネルギービル(ZEB)において地中熱を導入する際の計算方法等の確立にも協会として寄与し、現在ではクローズドループ、オープンループともに計算方法が確立されています。

技術的な面では基礎は固まっており、今後はJIS化等に向けた検討も進めていきたいと思っています」


◆10月17日設立20周年記念シンポジウム…過去、現在、未来を考える場に◆


――10月17日には設立20周年記念シンポジウムが会場(千代田区立内幸町ホール)及びオンラインで開かれます。シンポジウムの狙いやポイントは?

「政府が2050年脱炭素を宣言して4年が経ちます。各所に太陽光発電パネルや風力発電の風車が設置され、社会の中でも再生可能エネルギーがたいぶ浸透してきたように思いますが、未だカーボンニュートラルへ向けては道半ばであり、脱炭素社会の実現に向けて再生可能エネルギー熱の出番ではないかと考えています。こうした状況の中、シンポジウムでは、これまで積み上げてきた過去を振り返りながら、現在をしっかりと認識し、2050年を見据えた未来、すなわち次世代の地中熱を考える場としたいと思っています。

具体的には、地中熱に関するこれまでの施策を協会20年の歩みと共に紹介し過去を振り返ります。また、2017年に策定した地中熱ロードマップを今年度改定しましたので、現状で協会が考えるこれからの地中熱のあり方について内容を紹介します。

ロードマップは協会関係者で考えうるものを盛り込んでいますが、地中熱をさらに広げるためには様々な分野の方々のご意見が必要だと考えており、パネル討論では建築分野やエネルギー全般、自治体などで活躍されている方々を迎え、『これからの地中熱』をテーマに討論を行う予定です。さまざまな分野の方々の意見を参考に将来の方向性を探れたらと思っています」


◆脱炭素先行地域やZEB等での導入加速、地下水規制の緩和、再エネ熱導入義務化など◆


――改訂版ロードマップのポイントはどのような点でしょうか。

「協会が地中熱利用の普及拡大に向け中長期ロードマップを作成したのは2017年で、この時は2030年代に目標を置いていました。その後2020年に国が脱炭素宣言を行い、2050年カーボンニュートラルという目標が設定されましたので、協会でもロードマップの抜本的な見直しを行い、2050年に国の再エネ熱の目標の1割にあたる134万kl(原油換算)を地中熱で実現することを目標にして、脱炭素社会に貢献できるようにロードマップを改定しました。

当面は国の政策との整合性を考え、脱炭素先行地域にできるだけ地中熱を導入し、地中熱の普及モデルを作っていくことと、地中熱利用により省エネ効果の高いZEBの普及を目指すこととし、さらに将来に向けて集合住宅のZEH(ZEH-M)への導入、面的利用の拡大(地域熱供給など)、農業に加えて養殖漁業や醸造業など新規分野への導入を目指しています。これらのうち、面的利用の拡大に関連して、NEDOが今年度から開始する技術開発プロジェクトは、これからの地中熱利用の方向性を考える上で目が離せないものになると思います。

地中熱利用の普及拡大には、これらの取り組みを着実に進めていくことが重要ですが、これまでの導入実績等に基づき、いくつかのシナリオを作って将来を予測してみますと、現状の市場規模での活動で推移した場合、かなり頑張っても、ロードマップが掲げた2050年目標には届かないことがわかりました。高い目標を実現するには地中熱の市場創出をもたらすような政策の転換が必要なのです。

政策転換として重視しているのが『地下水規制の緩和』と『再エネ熱の導入義務化』です。『地下水規制の緩和』については、現在地盤沈下を起こさない帯水層蓄熱の技術実証が進んできており、揚水規制の緩和が実現できれば大きな市場が創出されると考えています。一方の『再エネ熱の義務化』については、ドイツ等でその有効性が確認された政策ですが、わが国に導入する場合は、まずは自治体が温暖化対策の政府実行計画に倣って、公共施設に導入義務化していくのが現実的ではないかと思っています。

地中熱利用促進協会では、ロードマップを通じて未来を見つめながらも、現実にはコスト・認知度などの当面する課題に向き合い活動を進めて行きたいと考えています」


◆ZEB等での拡大のためにもゼネコンなど会員拡大も重要◆


――この改訂版ロードマップをベースに活動を進められるわけですが、進める上でのポイントは何でしょうか。

「環境省のZEB等補助金の実施団体である一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)の採択事業によると採択件数の1割以上で地中熱が採用されています。一方、最近ではZEBの取り組みにおいて省エネだけでエネルギー消費量を50%以上75%未満とした建物を認証するZEB-Readyを採用するケースが増えています。このZEB-Readyではエネルギー消費量の削減量が少なく、地中熱はじめ再生可能エネルギー等を利用は進みにくいでしょう。

2050年脱炭素化を考えた時、目標を達成するためにはエネルギー消費量を一層削減することが大切だということを意識していただく必要があり、創エネルギーを加味した基準1次エネルギー消費量からの削減率が100%以上となるZEBを目指すことが重要だと考えています。そのZEB実現に大きく貢献できるのが地中熱(地下水熱を含む)であり、今後啓発活動を強化していく必要があると思っています。

そのZEBにおける地中熱利用の採用拡大を考えた場合、ZEBを手掛けている会員を増やすことが重要だと思っており、ZEBを手掛けているゼネコンなどにも協会に参加していただきたいと考えています。

また、会員企業には今後の基本的方向性となる改訂版ロードマップを共通認識として持っていただきたいという思いから今年度の総会で議案として提起させていただきましたが、今回開催する『設立20周年記念シンポジウム』でも『改訂版ロードマップ』を紹介しますのでぜひ内容を理解していただき、ともに脱炭素に向けた地中熱普及の取組を進めていただければと思っています。

また、エンドユーザーサイドとなる不動産関係や施設関係の皆様にも地中熱など再生可能エネルギー熱利用の理解を深めていただきたいと思っており、ぜひシンポジウムに参加していただきたいと思っておりますし、今後協会としても関係する各方面に働きかけていきたいと思っています」(終わり)


【NPO法人地中熱利用促進協会20周年記念】

10月17日に設立20周年記念シンポジウムを開催
千代田区立内幸町ホールとオンライン


NPO法人地中熱利用促進協会(笹田政克理事長)は2024年度に協会設立20周年を迎え、2024年10月17 日(木)に「設立20周年記念シンポジウム~現在・過去・未来の地中熱利用・普及への取組み」を開きます。

開催時間は、13:30~16:30で、会場(千代田区立内幸町ホール:定員140名/先着順)とオンラインのハイブリッド型で行われます。シンポジウムは参加無料で会員以外の方も参加できます。


◆小池百合子東京都知事も来賓で来場予定◆


シンポジウムには、地中熱エネルギー利用促進議員連盟の遠藤利明会長や東京都の小池百合子知事、環境省水・大気環境局の松本啓朗局長も来賓として来場する予定となっており、協会活動への期待の高さがうかがえます。


◆20年の歩みや改訂版ロードマップの紹介など◆


シンポジウムでは、『NEDOが取り組む技術開発、過去~未来―再生可能エネルギー熱利用分野―』をテーマに国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)再生可能エネルギー部熱利用・地熱発電ユニットの馬場惠里ユニット長が基調講演を行うほか、「協会20年の歩み」を地中熱利用促進協会の及川喜代文幹事、赤木誠司事務局長、「地中熱利用促進協会ロードマップの紹介」を地中熱利用促進協会の笹田政克理事長がそれぞれ講演を予定しています。

また、講演後には『これからの地中熱』をテーマとしたパネル討論(ファシリテーター:地中熱利用促進協会・谷口聡子青年部会長)も行われる予定です。


◆協会発足当時約200件の地中熱ヒートポンプが3,200件に◆


協会発足当時、国内の地中熱利用ヒートポンプシステム導入件数は約200件程でしたが、協会の積極的な広報活動、会員の技術的な向上等に向けた地道な活動を経て現在では3,200件を超える導入件数になっています。2050年ゼロカーボンが宣言されて4年が経過するとともに、持続可能な開発目標(SDGs)の達成が世界的な重要課題となる中、再生可能エネルギー熱利用の1つである地中熱利用の果たす役割も今後、一層高まり、協会の活動も一層重要なものになっていくでしょう。

シンポジウムへの参加申し込みは10月9日(水)まで。

シンポジウム終了後には、懇親会(有料)も予定されています。

シンポジウムの詳細等はNPO法人地中熱利用促進協会ホームページの以下URLを参照してください。

https://www.geohpaj.org/archives/11573

地中熱利用促進協会 設立20周年記念シンポジウム 開催のご案内 | 地中熱利用促進協会

Geo-Heat Promotion Association of Japan当協会は設立20周年を迎えました。 そこで、設立20周年記念シンポジウムをリアル・オンラインのハイブリッド型で開催します。カーボンニュートラルが宣言されてから4年が経ちます。いたるところに太陽光発電パネルや風力発電の風車が設置され、国内のさまざまな風景に自然と溶け込むようになりました。私たちの“違和感”も薄らいできているように思います。これは再生可能エネルギーが日本でも浸透してきたことを意味するものと捉えていますが、未だカーボンニュートラルへ向けては道半ばです。いよいよ再生可能エネルギー「熱」の出番です。当協会は今年、設立20周年を迎えました。20年前の国内の地中熱ヒートポンプシステム導入件数は約200件、現在は3,200件を超えるほどになりました。海外の地中熱先進国には及びませんが、これまで地中熱に携わられた皆様の地道な努力が実を結んだ結果の賜物です。近年、海外では省エネの流れから地中熱の地域熱供給への導入が進んでいる情報を耳にします。国内でもその流れを普及の一つの手がかりとして、エネルギー基本計画にも謳われているように「複数の需要家群で熱を面的に融通する」ことで、地中熱の普及拡大を目指すことは十分可能と考えています。20周年事業では、これまで積み上げてきた活動〈過去〉を振り返りながら、足元〈現在〉をしっかりと認識し、2050年を見据えた次世代の地中熱〈未来〉を考える場とします。具体的には、地中熱に関するこれまでの施策(基本文書や設計基準、ガイドライン、補助金制度、技術開発等)を協会20年の歩みと共に紹介し過去を振り返ります。また、2017年に策定した地中熱ロードマップを今般改定し、内容を紹介いたします。加えて地中熱の専門分野に限らず多方面の分野で活躍されている方々を迎え、「これからの地中熱」と題して、パネル討論を行います。協会の周年事業ではありますが、脱炭素の取組に関心をお持ちの多くの方々に地中熱の魅力を感じていただける場にしたいと考えております。    タイトル:地中熱利用促進協会設立20 周年記念シンポジウム テーマ: 現在・過去・未来の地中熱利⽤ 普及への取組み 日 時: 2024年10月17 日(木) 13:30~16:30 開催方式:ハイブリッド型 会場参加(定員140名/先

www.geohpaj.org

◆単価高い果物のハウス栽培視野に青森県深浦町で温泉廃水の熱利用の実証実験◆

◆2年間の試験で冬期に必要な温度の確保を確認◆

寒冷地で温泉廃水の未利用熱を活かして世界三大美果「チェリモヤ」の栽培を――。株式会社日さく(さいたま市大宮区桜木町4-199-3、若林直樹社長)は、国立大学法人弘前大学地域戦略研究所新エネルギー研究部門の若狭幸助教ら研究チーム、ジオシステム株式会社(東京都練馬区関町北3-39-17、高杉真司社長)と共同で実証実験「高効率の熱交換器を利用した温泉廃熱の農業利用の試み」を青森県深浦町で実施し、温暖な環境が必要な「チェリモヤ」の栽培に向けて冬でも必要な温度を確保できたことを確認したとしており、同地域における「チェリモヤ」栽培に弾みがつくか注目されます。

「チェリモヤ」は南米原産の果物で、「森のアイスクリーム」と呼ばれる高級果物で、栽培適合温度は15~30℃。日本国内での栽培では、冬季の暖房がカギとなり、この試験では「チェリモヤ」を栽培するのに必要な冬季の室内温度5℃以上を目指して試験が行われています。


◆冬期(11月~2月)の加温のみでヒートポンプも不要◆


2022年度から2023年度にかけて実施した実証実験では、青森県深浦町の既設源泉を利用し、源泉から自噴している未利用の温泉廃水を温泉貯留槽に貯め、そこから採熱し、付加価値の高い農作物「チェリモヤ」の冬期栽培に向けて必要な温度を確保できるかを確認。

熱の需要は冬期の加温のみであり、そもそも水温の高い温泉水を利用するため、ヒートポンプを使わないシステムになっている点が特徴。

加温する実証実験施設は、面積5.6m2の半球状のドーム型温室。

熱交換器には、ポリエチレン製の熱交換シート(商品名:G-HEX)を筒状に丸めたものを採熱・放熱で使用。

採熱部分は常時温泉水の流れがあり、採熱効果がより得られるようになっています。

一方、放熱部分は植物の葉の部分を温めるように熱交換シートを屏風状に立てるように設置しています。

この加温システムの実証は、冬期(11月から2月)のみ実施。

温泉温度50.6℃(温泉流量200L/min)で、2022年11月からデータを採取し始め、採熱側の循環流量12L/minで採熱側の入口と出口の温度差は約2.9℃程度となり、放熱側(室内側)の温度は目標である室内温度5℃以上をおおむね確保することができたとしています。


◆熱交換シート付着の温泉スケールの除去、能力回復も確認◆


採熱側で運転後期に採熱温度差の低下が見られたものの、これは採熱器への温泉スケールの付着が原因と考えられ、定期的に高圧洗浄をかけるなどすることで採熱能力が回復することも確認しています。


◆温泉熱で得られた熱をボイラー換算するとA重油年間5万7,600円分◆


日さく株式会社の高橋直人氏によると、「今回の実証実験では、施設での放熱器からの熱放出量は約2.0 kWと試算。化石燃料の燃焼に換算した場合、5,760 kWh/年となり、これをA重油の量に換算すると576 Lとなります。コスト面で見ると、A重油の単価を100円/Lとするとボイラーを用いて暖房した場合のコストは年間5万7,600円となります」とし、この温泉熱を利用すれば通常のボイラーでかかる燃料代等よりもランニングコストの面で有利になる可能性を示唆しています。


◆CO2排出量年間1,540㎏分の抑制にも◆


また、温室効果ガスの排出についても「(A重油)であった場合、CO2排出量は年間1,540kgとなります」とし、温泉熱によるシステムを利用することで温室効果ガスの排出抑制にもつながる可能性を示唆しています。

今回の実証実験は、「チェリモヤ」栽培に必要な室温がキープできるかを確認するものであり、「チェリモヤ」自体の結実等までは至っていませんが、「チェリモヤ」の販売価格は1個あたり安価でも5,000円を超えるものであり、今回の試験が高付加価値作物の生産の第一歩となることに期待が集まっています。


※記事中の図や写真は、(株)日さくより提供いただいたものです。

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◆書籍「再生可能エネルギー熱」(幻冬舎:著者・柴芳郎)販売開始◆

2050年脱炭素化に向けて再生可能エネルギーによる発電(太陽光発電)や更なる省エネ化が進められていますが、最近大きな関心を集めているのが、再生可能エネルギー利用の1つである「再生可能エネルギー熱」(再エネ熱)利用です。

再エネ熱には、このサイト「広報『地中熱』」で紹介している地中熱や地下水熱などのほかにも、太陽熱、バイオマス熱、温泉熱、雪氷熱など自然界に存在する熱エネルギーがあります。この熱エネルギーを直接利用することで発電よりも高効率なエネルギー変換が可能であり、より大きな省エネ、温室効果ガスの排出抑制(省CO2)効果が得られることから注目を集めています。

具体的な用途は、建物の冷暖房や給湯などの熱源として利用できるほか、農業分野での施設園芸における温度管理などで利用できます。

例えば、地中熱や地下水熱は冷暖房、給湯、消融雪に、太陽熱や温泉熱、バイオマス熱は給湯や加温、床暖房、消融雪などに利用でき、いずれも従来のシステムよりも化石資源由来のエネルギー消費量がないまたはとても少なく、温室効果ガス(CO2)排出量を大幅に抑制することができます。

このことからSDGs(持続可能な開発目標)の達成においても再生可能エネルギー熱利用は大きな注目を集めています。

こうした中、書籍「再生可能エネルギー熱」(著者・柴芳郎)が幻冬舎より6月28日に販売が始まりました。


◆四半世紀にわたり地中熱等の利用方法を研究している柴氏◆


再生可能エネルギー熱の専門家である著者の柴芳郎氏は、四半世紀にわたり地中熱、温泉熱、太陽熱などの利用方法を研究。

柴氏が代表取締役をつとめるゼネラルヒートポンプ工業株式会社は、再生可能エネルギー熱をより効率的に生かすヒートポンプを製造し、これまでに地中熱や地下水熱を利用した空調設備を数多く手掛けているほか、病院における人工透析治療で使用された透析排液やRO濃縮水を熱源とした水冷式ヒートポンプとインバータ技術を駆使してRO原水を加温することで、従来設備(電気ヒーター等)の稼働率を削減し、大きな節電効果・CO₂削減を実現するシステムなどを提供しています。


◆ネット・ゼロ・エネルギーに繋がる再エネ熱◆


本書は、発電よりも効率的な熱利用は社会に大きなメリットを生み、省エネルギーと省コストに大きく貢献できると示しており、再生可能エネルギー熱の重要性と有効性を知ることで、ネットゼロエネルギー・ネットゼロカーボンにつながる一冊になっています。

新刊「再生可能エネルギー熱」は、全国の書店( 三省堂/ 丸善/ ジュンク堂/ 紀伊国屋等)で購入できるほか、Amazonでも購入可能です。

【価格】¥990-(税込)

Amazonでの購入は以下URLから👇

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