【2022年夏特集】③生物多様性保全を視野に入れた取り組みを地中熱利用で低炭素に~興和

◆地中熱を利用した冷暖房を緑化試験棟に導入◆


生物多様性保全を視野に入れた取り組みを地中熱利用して低炭素に――。地中熱などを利用した空調や融雪技術等の再生可能エネルギー熱事業に取り組む興和(新潟市中央区新光町6-1、池野正志社長)は、独自の緑化技術開発のため、このほど省エネ型”地中熱利用”環境制御「緑化試験棟」を整備。生物多様性保全と低炭素という2つのキーワードを併せ持つ取り組みは注目されます。

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雪国・新潟で古くから道路消融雪に取り組んでいる同社は、そこから発展させた地中熱・下水熱等を利用した再生可能エネルギー熱事業に取り組んでいます。地中熱等を活用し、動力なしで融雪できる「ヒートパイプ」の開発等も進めています。


その同社では、斜面防災対策工事も事業の柱の一つとなっており、緑化試験棟となっている実験用ビニルハウスは、斜面緑化の試験・研究を目的に作られたものです。


“新潟の、北陸の、ひいては日本の山林を守りたい”という考えのもと、斜面緑化のこれからの方向性を「生物多様性保全」をテーマとしていく方針で、斜面緑化で使う種苗育成に取り組みます。


一般的な農家のビニルハウスでは、冬期に化石燃料をつかうボイラで暖房を行っていますが、農業分野でも温室効果ガスの削減は問題となっているほか、昨今の原油価格高騰の影響を直接的に受けてしまう点が課題となっています。


◆環境負荷少ない地中熱+空気熱ハイブリッドヒートポンプ◆


こうした課題を軽減するため、緑化試験棟では、環境負荷の少ない地中熱+空気熱ハイブリッドヒートポンプで冷暖房空調を行っています。


地中熱+空気熱ハイブリッドヒートポンプは、冷暖房需要が高い夏季・冬季は年間を通じて温度が一定の地中熱や地下水の熱をベースの熱源としてヒートポンプを運転し、外気温が安定している時期には空気熱を熱源としてヒートポンプを動かし、消費電力量を効率的に下げ、CO2削減にも寄与するものです。


緑化試験棟で使われている地中熱は、地下水をくみ上げて熱源として利用するオープンループ方式を採用しています。ハイブリッドヒートポンプは、11kWのセット(HYS-AG11WZ)を2室それぞれに設置しています。1次側(建屋の外側)に地下水をくみ上げる自吸ポンプ、地下水とヒートポンプとを縁切りするプレート式熱交換器、2次側(建屋の内側)にファンコイルユニットが設置されています。


◆冬季には暖房利用後の地下水をハウスまわりの消雪に利用◆


冬季には、採熱後の地下水をハウスまわりの消雪にも活用しており、雪国・新潟ならではのカスケード利用を行っている点も注目されます。なお、熱交換用の井戸は、ヒートポンプ1組に対し、Φ50mm×17mの井戸を1本ずつ掘り、約15L/minの地下水を熱利用に使っています。


試験棟は、屋外の気温や風速、日射量、室内の気温、湿度等を各種センサによってモニタリングし、空調や窓の開閉による換気、加えて保温カーテン、遮光カーテンの開閉を組み合わせた環境制御を行っています。


さらに、ハウスは2室構造としており、比較試験や異種植物の生育試験ができるよう、独立した環境制御が可能となっています。


これらモニタリングデータや施設の稼働状況はインターネットを通じて現場を離れていても監視ができ、遠隔制御を行うことができます。


生物多様性保全を目指した緑化の取り組みで採用した地中熱利用システムは今後、大きな注目を集めそうです。

※記事中の写真や図は、㈱興和提供。

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