※この冬は記録的寒波が列島を襲い各地で豪雪被害が多発しました。こうした中、再生可能エネルギー熱利用である「地中熱・地下水熱」が豪雪地帯の生活を守る手段として大きな注目を集めそうです。
土地環境電子媒体「GeoValue」では、地下水を活用した「無散水消雪システム」で雪国の生活を守ってきた日本地下水開発㈱の取り組みを取材し、「GeoValue」Vol.46(2018年2月19日付)で掲載させていただきましたが、今回は特別にその記事をご紹介させていただきます。
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■地下水の「熱」だけを利用する「無散水消雪システム」…施工実績・東京ドーム33個分以上に
記録的寒波により2018年冬は日本海側を中心に記録的な降雪となり、先日も福井県で国道8号が3日間にわたってストップするなど大きな被害をもたらしています。一方で、消雪パイプを布設した地域では止まぬ雪に揚水量が増え、地盤沈下が懸念される事態にもなっています。
こうした中、1968年に本社構内に地下水還元型消雪システム(無散水消雪システム)の実験施設を設置するなど地中熱利用のパイオニアである日本地下水開発(JGD:山形県山形市松原777、桂木宣均社長)の「無散水式消雪システム」の実績が昨年12月末現在、東京ドーム(46,755㎡)の実に33個分以上の面積となる157万6,000㎡超に達しています。JGDのシステムは、地下水を路面等に直接流さず熱だけ利用した後に地下還元するもの等であることから、貴重な地下水資源の保全と消雪を両立させるシステムとして改めてクローズアップされそうです。
JGDの施工実績内訳を見ると、「地下水利用」が全体の約79%を占める124万8,000㎡と大多数を占めていますが、その他「ボイラー利用型」や「地中熱利用」、「ヒートポンプ利用(地中熱を除く)」など多様な消雪システムを手掛けています。
※「無散水消雪システム」を導入したJR新庄駅周辺歩道の模様。雪のない歩道と消雪システムの入っていない部分の差がよく分かります(写真提供:日本地下水開発)
地域別では地元・山形県が全体の約35%を占めており最も多い地域ですが、秋田県(13.8%)、福島県(12.7%)、長野県(12.6%)、岩手県(9.5%)など東北地方を中心に幅広い地域で施工実績を積み上げています。
■ドクターヘリのヘリポートなどにも導入され、地域の安全・安心にも寄与
かつて取材したケースを振り返ると、ドクターヘリの拠点になっている山形県立中央病院のヘリポートに同社の地下水還元型無散水消雪システムが導入され、冬期の緊急医療を支えているほか、蔵王温泉郷では、温泉排湯を利用した無散水消雪設備が導入され、冬期でも温泉街の道路を安全に移動することを実現しています。
新庄駅前の歩道にも同社のシステムが導入されていますが、降雪量の多かった2015年でも写真の通り大きな効果を発揮していることが分かります。
また、最近では東北地方において新設が進んでいる高規格幹線道路において、地中熱やトンネル湧水を利用した湧水熱ヒートポンプシステムなど同社のシステムが採用され、冬期の安全・安心な交通網確保を実現しています。
毎年各地で相次ぐ豪雪被害を受ける中、降雪地域の安全・安心な生活と貴重な地下水資源の保全を両立する観点からも今後、各道路管理者の間で「無散水消雪システム」への関心が高まるか注目されます。
※日本地下水開発㈱HP
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