少し緩和されてきましたが、2018年夏は「熱災害」と言われるほどの酷暑となっています。
熱中症患者が全国で救急医療に搬送され、高齢者や幼い子供の死亡例も出ています。
この酷暑も地球規模での気候変動が原因であると見られますが、樹木が少なく熱をため込むコンクリート製の建物が林立し、路面がアスファルトで覆われている街では気候変動による温度上昇に加え、街自体が温度を貯めて気温が上昇してしまう「ヒートアイランド現象」も大きな課題になっています。
その温度上昇の一因にエアコンの排熱も挙げられています。
一般家庭からビル等でも普及している一般的なエアコンは、「空気」と熱交換して室内から温度を奪い、室外に放出することで室内の温度を下げています。
室外機の前に立てば分かりますが、エアコン室外機からファンで出される空気は気温の高い外気よりさらに温度の高いものです。
1つの建物が排出する熱はたかが知れた量かもしれませんが、東京を含めた首都圏で想像してみてください。
無数の建物1つ1つにエアコンが設置され、無数の室外機から外気より熱い排熱が出ています。
気候変動、アスファルト舗装等で上昇した熱い空気にさらに熱い空気を送っているのです。(もちろん、無数の自動車エンジン排熱等影響の大きそうなものはほかにもありますが)
このエアコンの排熱分だけでもなくなったら、多少は気温が下がるのでは?
環境省の実証事業のうち、「ヒートアイランド対策技術」として実証事業が行われているものに「地中熱」があります。
これまでにも紹介してきた通り、「地中熱エアコン」は年間を通じて温度変化が少ない地中の熱を冷房や暖房の熱源として利用しています。つまり、この酷暑で地中熱エアコンをガンガン使っても、街の外気には一切排熱がないのです。
実際に「地中熱エアコン」がヒートアイランド現象の緩和にどの程度効果があるのかを検証できるほど「地中熱エアコン」が普及している訳ではないので実際の数字等は分からない点はありますが、もう一度想像してみてください。
高架を走る鉄道の車窓から東京の景色を見れば、見える範囲ほぼすべてに建物がひしめいています。その建物群から真夏には外気温より高い排熱が一斉に出ているのです。
これがなくればその分の温度上昇は下がるのでは?ということは想像はできます。
気候変動による温度上昇が今後ますます進むと言われている中、少しでも街の温度を下げていく取り組みを進めていく必要もあるのではないかと思います。
その1つとして、「地中熱エアコン」は大きな可能性を秘めていると思います。
エアコンの買い替えの時、「次は地中熱エアコンに。。」、「建物の新築の際は冷暖房の基本は地中熱。。」
そんな時代にしていく必要があるように思います。(エコビジネスライター:名古屋悟[ECO SEED代表])
※ECO SEEDでは、その「地中熱」を巡る政策やビジネス動向等を定期的に発信する電子媒体「GeoValue」(毎月2回配信、年間購読料¥19,440-)を発行しています。ビジネスとして取り組みたい方、導入してみたい方のお役に立つ情報が満載です。見本を見てみたいという方、購読を検討してみたいという方は、ECO SEED宛てe-mail(ecoseedplan@gmail.com)までご連絡ください。
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