◆代表取締役社長・萩原利男氏を訪ねる◆
「地中熱利用は、持続可能な開発目標(SDGs)達成を支えるツールの1つであり、私たちはその地中熱利用で地域に貢献していきたいと考えています」――。こう語るのは、甲斐の国・山梨県で地中熱利用の普及促進に取り組んでいる(株)ハギ・ボー(甲府市上今井町740-4)の萩原利男社長です。事業の多角化に伴い、新たな企業イメージの構築を図るため、2020年1月20日に萩原ボーリングから『ハギ・ボー』に社名変更した同社は、従来から掲げる 「地球環境との共存」という経営方針の基、再生可能エネルギーの1つである地中熱利用に 取り組んでいます。萩原社長を訪ね、同社の取り組みを取材しました。(エコビジネスライター・名古屋悟)
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◆行政機関や民間建物、ハウス栽培、介護施設等多様な場所に地中熱設備を導入◆
同社は、約25年前にエネルギー情報収集に心がけ、具体的に地中熱利用に取り組み始めたのは約12年前地中熱利用システムを普及させるため、本社屋に地中熱利用ヒートポンプ システムを導入し、省エネ性などを示すために継続的にモニタリングを実施しつつ、これまでの取組みの中で、行政の庁舎や民間建物に於ける空調、農業分野に於けるハウスの加温/冷却、温泉施設や介護施設における給湯/加温等多様な用途で実績を残しています。 採熱方式もクローズドループ方式、オープンループ方式、直接膨張方式等多様な方式も 手掛け、エンドユーザの地中熱利用による脱炭素化とランニングコストの低減をサポートしています。
「再生可能エネルギー熱利用である地中熱利用」は、当社が培ってきた温泉・地下水開発や地盤・土質調査といった技術を活かし、省エネや温室効果ガスの排出を抑制できる地産地消のエネルギーであることから手掛け始めました。脱炭素社会やSDGsの実現が求められる中、当社は地中熱利用を柱に持続可能な地域の発展を支えていきたいという考えのもとで取り組んでいます」と萩原社長は語ります。
◆地中熱設備の普及のみならず顧客のニーズ合ったより良い提案◆
これまでの経験等を踏まえ、地中熱利用を広める為に必要な事を聞くと、「顧客のニーズに合ったより良い提案を行っていくことが大切だと考えています」と萩原社長。
その一端が垣間見えるのが、オール電化が進む給食センターへの提案。調理や洗浄で大量に使うお湯を沸かすため多くの電力が必要となりますが、同社ではこの電力使用量を抑制 させるため電気のピークシフトを行い、夜間電力を使うことで電気代を削減する提案等を 行うなどしています。
「当社では地中熱利用の普及を図っていますが、地中熱利用システム単体を普及させる だけでなく、ユーザーの実情に合わせ、その他エネルギーとの組み合わせ…例えば、 電気代が高騰する現状等を踏まえた場合、比較的安価に発電出来るガス発電設備と組み合わせた提案等ユーザーが満足できるプランを提示していく事が大切だと考えています」と萩原社長は語ります。
また、地中熱利用は導入コストが高いこと等が導入の阻害要因として挙げられますが、この課題について「どうやったらコストを下げられるのかの努力は引き続き必要だと思って います」と述べ、低コスト化に向けた技術開発は勿論、スムーズな施工を実現するためにも同業等との仲間づくりの大切さも説きます。加えて、設置後のメンテナンスについても柔軟に対応し、顧客ニーズに応えていく重要性を指摘しています。
地域での地中熱利用の推進を図る同社は、県内での地中熱利用の普及啓発を行っている 「山梨県地中熱利用推進協議会」を発足させ、「啓発活動を通じて地域の機運を高めていくことが大切だと思っています」と話します。その一方で、「急速に広がるものは直ぐに廃れてしまう事があるので、地道に啓発し、定着させていく方が良いと思っています」と語り、焦らず地域に根付かせ、地域の脱炭素化を実現する適切な設計の地中熱利用設備を広めていく考えを示します。
こうしたこれまでの同社の緻密な取り組みは、行政機関にも認められ、令和3年10月15日付で、山梨県が主導し県内市町村が参加する再生可能エネルギ―関連の「山梨県:ストップ温暖化やまなし会議」(※)の組織にも企業としては初めて加入しています。
※会議の宣言:参画する自治体、団体、民間企業等がパートナーシップを構築しながら、2050年までに、県内の温室効果ガス排出量実質ゼロの達成に向けて、それどれが自らの活動に於いて、地球温暖化対策に取組む事を宣言します。
◆地域社会への貢献と環境への配慮などを目的に社内にSDGs委員会設置◆
持続可能な地域づくりに地中熱で貢献していく考えの同社では対外的なことだけでなく、社内でもSDGsに関する取り組みを展開しています。2022年には社内にSDGs委員会を発足しており、各部署から担当を任命し、地域社会への貢献と環境への配慮などを目的に、具体的な取り組みを企画・提案する組織として社内外に向けて活動していく考えだとしています。その成果は、同社のホームページ(https://www.hagibor.co.jp/ )でも随時紹介していくとしています。
また、SDGsに関連した動向としては今年2月に60社以上が出展した「YAMANASI SDGs FORUM 2023」にも出展し、地中熱事業について紹介しています。
取材の最期に萩原社長は、「当社は山梨県内の温泉・地下水開発や地盤・土質調査を中心に、地域に根づき地域を愛し、地域の地下特性と環境を誰より考え貢献してきたと自負しています。これまでの多種多様の経験は、常に試行錯誤を重ね、時には難題に苦しみ、時には お客様と共に喜び、発想力・提案力・技術力を社員一丸となって一歩一歩高めてきました。日々変化していく地球環境に対応し、時代とともに進化する技術と顧客ニーズをこれからも高い品質で提供できるよう、当社は『水と大地と環境の総合コンサルタント』として今後も邁進していきます」と述べ、「SDGsの実現に向けた再生利用可能なエネルギーの活用法を提供し、地元に貢献していきたいと思っています」と今後の意気込みを語ってくれました。
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