豊富な地下水熱でZEB化図る行方市の藤崎建設工業本社社屋(環境省優秀事例より④)

環境省は9月7日、2012~2016年度に掛けて実施した地球温暖化対策に関する環境省補助事業の優良活用事例をまとめ、大町市あすなろ保育園地中熱利用設備整備事業など地中熱等再エネ熱導入4事例を含めてHPに公開しました。

環境省が認めた優秀事例として地中熱関連4事例を順次紹介します。

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環境省地球温暖化対策補助事業優秀事例 2018年度(地中熱関連4)

≪茨城県行方市の『藤﨑建設工業株式会社本社社屋のZEB化』》

 『2016年度ZEB実現に向けた先進的省エネルギー建築物実証事業」により茨城県行方市内で地下水熱利用設備を導入した『藤﨑建設工業株式会社本社社屋のZEB化』を紹介。地中熱利用冷暖房空調システム(井水利用空調設備)1式(地中熱ヒートポンプユニット:定格能力冷:26.5kW、暖:28.0kW)や太陽光発電、発泡ウレタンなど断熱材を組み合わせ、省エネ効果、再エネ効果により、対象建物のBEIは設計時(-0.08)を上回り、『ZEB』を達成する見込みとしています。(記事中の図は環境省資料より)

◆事業概要

【施設概要】

事業者名:藤﨑建設工業株式会社

業種:建設業

【事業所】

所在地:茨城県行方市新宮

総延床面積:651m2

【補助金】

補助金額:約121,504千円

補助率:2/3

【主な導入設備】

導入設備:発泡ウレタン1,394m2、外付けブラインド5箇所32台、Low-Eペアガラス16箇所、LED照明(LEDベースライト等9.5~40W231基)、個別無線照明制御システム1式、地中熱利用冷暖房空調システム(井水利用空調設備)1式(地中熱ヒートポンプユニット:定格能力冷:26.5kW、暖:28.0kW)、高効率空調設備・全熱交換器(冷:2.3kW、暖:2.2kW等)7組・15台、太陽熱利用給湯設備(集熱面積4.0m2 貯湯量228L)1式、太陽光発電設備46kW 蓄電池設備16kWBEMS1式

【稼働日】

2017年2月~

区分:新築

◆先進性

ZEB達成度が『ZEB』であり、地域資源である豊富な地下水を活用した地中熱利用冷暖房空調システムを導入した先導的なZEB化の実証事業である。

◆事業効果

エネルギーコスト削減額:約175万円/年約370万円/年

投資回収年数(補助あり):35年

C O 2 削減量:約64.2t-CO2/年

◆事業によって実現できたこと

• 省エネ効果、再エネ効果により、対象建物のBEIは設計時(-0.08)を上回り、『ZEB』を達成する見込みです。

• 高効率空調、LED照明等の導入により、執務環境が改善するとともに、来館者からの評判も上々です。

◆事業を行った経緯

• ZEB建築物の記事(日本物流新聞)を読み、新社屋の建替事業に伴いZEBを推進したいと考えていました。

• ZEB設計等の実績等を有する民間事業者より環境省補助事業の情報の提供があり、補助金活用の機会を得て事業を実施しました。

• 建築デザインは、ZEB化の検討を始める前の段階で既に設計をしていたため、外部に対して開放的な建築デザインの変更は行わずにZEB化を検討しました。

• 検討ではZEB Readyなどの達成度にとどまらず、『ZEB』実現に挑戦すべく、『ZEB』化を実現させる施設設計としました。

◆事業者の声

• 中小規模では県内初のZEB物件のため注目を浴びており、茨城県建築士会、茨城県経営者協会、民間企業などの見学会・視察に対応し、普及啓発としての役割も果たしています。

◆事業を行うにあたり特に工夫した点

• 地域資源として豊富な地下水があり、地下水を熱源とした空調システムを検討しました。

• 空調運転時間が長い設計及び総務部門の執務室には、年間を通じて温度の変動が小さい地下水を熱源とした井水利用ヒートポンプ設備及びファンコイルユニットを採用し、空調運転時間が短い執務室には個別熱源の高効率パッケージエアコンを採用しました。また、窓ガラスは全面断熱化を行いました。

※同資料は環境省ホームページのエネルギー対策特別会計補助事業活用事例集(2018年度)からデータ入手可能です。以下のアドレスを参照ください。

http://www.env.go.jp/earth/earth/ondanka/jirei/jirei2018_10.pdf

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