再生可能エネルギー熱利用が下水道管路老朽化問題を解決する1つの手段に

◆老朽化下水道管路陥没事故で考える再生可能エネルギー熱利用◆

 八潮市での下水道管老朽化陥没事故を見て、新聞記者時代に取材していたことをいろいろ思い出しています。私はかつて環境専門紙記者時代に下水道分野も担当しており、下水道管路の老朽化問題も大きな取材テーマでした。

下水道分野の担当を始めた2001年当時から下水道事業では管路の老朽化は大きな問題でした。路面陥没事故も規模は大きくなくとも全国で3000件程度起きていました。

◆老朽管対策の工法で下水の熱を回収する技術◆

そんな状況下、2010年代に入ると老朽管の更生工法を利用した下水熱利用システムが登場し、私は老朽管対策の切り札のひとつが「これだ!」と思いました。

単純に下水道管の改築更新をしていくにはあまりにも膨大な延長距離があり、予算的にも厳しい状況でしたが、空調や給湯の熱源として下水熱が利用でき、老朽管対策も進むのならこんな素晴らしいことはありません。

下水道事業者は、熱供給事業者として利用者から施設管理費や使用熱量を収入として得ることができれば、積極的に更生工事を行える土壌が出来上がる…そう考えていました。

当時、下水道部局もかなり頑張って利用しやすいように工夫はしてきましたが、やはり民間が手続きも簡単に行え、容易に使えるようにまではなっておらず、結局、地中熱に比べても使いにくい熱源のままです。

今後、下水道事業者の収益が上がる仕組み、エンドユーザーがとても簡単に使える仕組みができれば…老朽管対策は今よりは早くスムーズに進むのではないかと考えています。

下水道事業者だけだと従来の制度等にどうしても引っ張られる傾向があると思うので、再生可能エネルギー熱利用を推進する側等が下水熱の利用が老朽管対策の加速に繋がる可能性が高いことを積極的に働きかけていくようなことも重要な気がします。

繰り返しになりますが、下水道等の地下インフラの老朽化はかなり深刻な状況です。その問題が再エネ熱利用で解消されるのであればこんなに良い方法はないと思っています。

〈エコビジネスライター・名古屋悟(ECO SEED代表)~※元・環境新聞記者〉

※この記事は電子専門紙「Geo Value」Vol.214 編集後記で掲載したものです。


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