【事例】下水熱による路面温度調節システムの効果実証~横浜市旭区土木事務所

◆「鶴ヶ峰まちかど広場」で実証

昨年度のデータでは路面温度が最大12℃下がる結果が出ています――。横浜市旭区旭土木事務所は昨年夏以降、同区内の「鶴ヶ峰まちかど広場」(下写真:撮影エコビジネスライター・名古屋悟)に下水熱を利用した路面温度調整システムを設置し、その効果検証を行っていますが、昨年9月には7.3℃から最大12℃の路面温度の低下、今年2月には約2.4℃の路面温度の上昇を確認しており、ヒートアイランド現象の緩和対策等にも期待できる結果が出ています。


◆夏は路面温度を下水に放出、冬は下水から熱を採取して路面を温める


システムは採熱管(ポリエチレン管)を下水道幹線の管底に敷設して熱交換器とし、広場路面下に設置した放熱パネル(ステンレス管)との間に不凍液を循環ポンプで直接循環させるもので、夏はヒートアイランド対策として広場路面の熱を下水に放出して冷却し、冬は下水道幹線から下水の熱を集めて融雪等を行う仕組みになっています。


広場に設置した放熱管の放熱面積は24.6㎡、下水道幹線管底に設置した採熱管は採熱延長36mとなっています。設備の運転は路面温度で自動運転を行っており、夏は路面温度33℃以上で運転、冬は路面温度2℃以下で運転しています。


広場には市民が下水熱を体感できるよう、放熱管に接続されている「下水熱体感手すり」が設けられており、運転時に手すりを触ることで夏は冷たさ、冬は温かさを体感できるようになっています。


◆夏のヒートアイランド現象緩和、冬の路面凍結防止に期待


このシステムは新潟市等で歩道の融雪システムとして設置されており、「融雪」としての機能が注目されていますが、積雪の少ない横浜市における効果検証で夏の路面温度低下の検証が進めば、ヒートアイランド現象の緩和に繋がる技術として大きな注目を集めそうです。

旭区土木事務所では引き続き効果検証を行うほか、ほかの場所での検証も視野に入れているとのことです。また、横浜市環境科学研究所と連携し、ヒートアイランド対策としてより効果的な対応等も検討していきたいとしています。


※取材:ECO SEED代表 名古屋悟(エコビジネスライター)

※取材協力:横浜市旭区旭土木事務所

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