日本の航空発祥の地「所沢航空記念公園」で地中熱利用が始まっています。導入したのは同公園内の茶室「彩翔亭」。7月26日、その「彩翔亭」で埼玉県地中熱利用促進協議会主催の「地中熱システム研修会」(協賛:NPO法人環境住宅研究会)が開かれ、設備の概要などの説明や見学などが行われ、参加者の高い関心を集めました。研修会を通じて公開された地中熱システムを紹介します。(エコビジネスライター・名古屋悟)
※この記事は2019年8月5日に配信された地中熱利用等の情報媒体「Geo Value」(ECO SEED配信)に掲載し、紹介したものです。
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◆所沢航空記念公園・茶室「彩翔亭」
年間479万人が利用する所沢航空記念公園は、明治44年に日本で初めて飛行機の飛行に成功した飛行場の跡地。航空発祥記念館や国産中型旅客機「YS11」の展示のほか、野球場やテニスコート(10面)なども整備され、県民や近接する東京都民などが集います。茶室「彩翔亭」はその園内中央西側に位置し、お茶会や句会などに利用されています。
その茶室「彩翔亭」に2018年度、地中熱ヒートポンプシステムが導入されました。これは、空調設備更新に合わせたもので、「所沢航空記念公園茶室地中熱利用空調ほか改修工事」として行われたものです。
◆運転効率の高い直膨式HPエアコンを導入
導入された地中熱システムは「埼玉県次世代住宅プロジェクト」で開発された直接膨張式地中熱ヒートポンプシステムで、地中熱交換器は鋼管杭を利用したもの。「彩翔亭」北側のスペースに長さ12mの熱交換用鋼管杭を15本設置。地中熱ヒートポンプは直接膨張式で冷媒はR410Aを使用しています。φ216.7の鋼管内に清水と銅製の冷媒管を挿入しています。
地中熱エアコンは、外機(冷房能力:6.8kW)1台、内機2台(各5.0kW)で構成。12畳の本室3の冷暖房に利用されています。
◆埼玉県地中熱利用促進協議会の「地中熱システム研修会」で公開
茶室「彩翔亭」への地中熱システム導入に当たって協力したNPO法人環境住宅研究会の依田修身専務理事が設備の概要などを解説。運用面では冷媒で直接熱交換するため熱ロスが少なく、循環ポンプなどが少なく消費電力が少ない点、現場での施工面でも住宅敷地で使える小型の機械が使えるため施工がしやすい点などを特徴として指摘しました。
今後、初めて迎えた夏の運転実績などに大きな関心が集まりそうです。
※所沢航空記念公園の最寄り駅は西武新宿線「航空公園駅」。
所沢航空記念公園HP
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