【特集】建物のシステム管理の効率化にフォーカス②~「ビルラック」サービス・ユーザーの声【Geo Valueセレクション】

◆業務効率化視野に施設管理システム「ビルラック」サービス導入◆

◆日東カストディアルサービス:10万㎡病院の設備管理で導入◆

 先日紹介した施設管理システム「ビルラック」サービスは、地中熱・地下水熱利用システムの運用に絡めて活用できるシステムではないかという視点からその概要を掲載しました。では、実際の使用者(施設管理者)はどのように感じているのでしょうか。また、システムとしての可能性はどのようなものなのでしょうか。読者の多くは普段あまり直接かかわらない業務分野かもしれませんが、少し情報のすそ野を広げ、紹介してみたいと思います。今回は、実際に施設管理を行っている企業を取材させていただき、施設管理の現状や施設管理システムを導入した状況等について紹介します。(エコビジネスライター・名古屋悟)

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◆月間1,000件対応件数の管理を紙ベースからシステムでのデータ管理に◆

取材で訪ねたのは建物の運用・維持管理を全国で手掛けている日東カストディアルサービス社。受託している某病院の施設管理で「ビルラック」サービスを導入しているといいます。

当該病院は、延べ床面積10万㎡に及ぶ大規模な病院。同社では照明やコンセントなどの電気設備や防災・空調・衛生設備など施設設備の保守点検・維持管理を40名弱のスタッフで行っています。計画的な点検や検査などのほか、院内からの連絡による緊急対応等に備えるため、交代制24時間365日常駐で対応しています。

その対応件数は「軽微なものも含めると対応件数はこの病院だけでも1カ月で1,000件になります」と現場副責任者のひとりO氏が語ります。設備の法定点検など年間スケジュールで管理する項目やオーナーからの依頼に基づく日々の不具合対応など複層的な業務に対応する忙しい現場だということが伺い知れます。

「ビルラック」サービス導入前はこれらの管理を紙ベースの日報等で行っていましたが、「個人の記憶が頼りになっている部分もあり、連絡漏れ、記憶違いなどがあったりしました。不具合事項の追跡調査をデータベースで管理している訳ではなかったので、紙ベースの記録を探さなければならず追跡に時間がかかり、オーナーに聞かれたときに即答できないようなケースもあります」とこれまでの業務における課題点を挙げます。

現場では朝、全体的なミーティングを朝礼で行っていますが、全員に的確に通じていない場合、また、交代勤務なので引き継ぎの際に伝わらないケースなどの課題があり、「そうした課題をカバーできるものが欲しいと思っていたところ、「ビルラック」サービスを知り、導入してみたところです」と導入に至った経緯を語ります。


◆連絡漏れなどによる業務の取りこぼし未然防止を目指す◆


その「ビルラック」サービスについて「まだ使いきれていない機能があります」としつつ、現在はホームの『お知らせや引き継ぎメモ』を利用者への伝言掲示板として使用しているほか、『運用者カレンダー』を天気、気温、出勤者の記録に、『受付・問い合わせ履歴』を客先から直接依頼を受けた業務の記録に、『スケジュール(年間・月間)』を外注委託業務の管理に、『点検・不具合』機能は客先に日報で報告した不具合事項の記録・管理にそれぞれ使用しているとのこと。外注委託業務や依頼業務などを「ビルラック」のクラウドデータベースで分けて管理できることで、関わるスタッフ全員の情報共有化を進め、やるべき業務の取りこぼしの未然防止などを進められる点に期待を寄せています。


◆分けたい項目ごとに業務データベース化して効率的な管理に◆


「システムを動かす中で、後追い履歴や不具合事項を分けて管理できる機能があることを知り、『データベース化してキーワードや日にちなどで検索できるようになれば、紙の資料から時間をかけて探す時間と手間が省けるのではないか』と思いたち、2019年1月以降の不具合事項を2カ月ほどかけてデータベース化したところです」とO氏は述べ、「1か月分の不具合履歴を入力した分を翌月の月初にまとめて印刷し、それぞれの責任者・管理者が共有することで、進める必要がある案件の確認ができます。完了していない案件があればシステムを通じて確認、共有できるので、指示も容易になったと感じています」と建物の不具合管理を徹底できるようになった点を改善点の1つとして挙げています。

また、年間スケジュールで組み込まれている法定点検等もカレンダー機能に年間作業を入力しておくことで全員が共有でき、例えば担当者が病気等で突然現場から離脱するケースが起きても漏らすことなく対応が可能になる点にも期待を込めています。


◆共有化したタブレット端末やスマホなどでも確認、現場で状況反映も可能に◆


複数現場を担当する管理者のK氏、統括責任者のT氏共に「ビルラック」サービスの効果に期待を寄せており、「立場上、事務所を拠点に複数施設を担当していますが、共有化したデータをタブレット端末等で複数現場の状況を見ることができますし、また現場にタブレットやスマホを持っていけば現場の状況を即反映させることができる点はとても使い勝手が良いのではないかと思っています」と述べています。

最後にT氏は、「ビルラック」サービスについて「現場の考えに臨機応変に対応できるシステムだと思っており、期待しています」と述べ、現場の要望に対し、システム開発会社が柔軟に対応する体制も魅力ある点として評価しています。

現在、日東カストディアルサービス社ではT氏を中心に某病院1カ所で運用している段階ですが、統括責任者であるT氏は「システムを活用して的確な施設管理ができればオーナーからの当社に対する評価も高くなり、受注しやすい環境を創出していけるのではないかと期待しています」と述べ、今後は全社的な運用を視野に、「他の現場管理者にどうやって使ってもらえるか見極めていきたい」としています。


【記者目線】

取材を通じ、施設管理者にとって管理しなければならない空調、照明などの様々な設備があり、定期的に管理するものに加え、突発的に対処しなければならないものが日々生じる中、複数スタッフとともに情報を共有し、取りこぼしがないように業務を進めていく事が極めて重要な業務のポイントであることが分かりました。そうした点で、様々な情報を仕分けしたい項目ごとにデータ管理でき、関係者と一元的に情報共有できる「ビルラック」サービスは、的確な業務の遂行を行っていく上で、今後大きな力になりそうです。 

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