※変更あり【全国地中熱フォーラム2021新潟特集②】脱炭素社会の推進に有益な情報提供の場に~新潟県地中熱利用研究会の池野正志会長インタビュー

【全国地中熱フォーラム2021新潟特集】②

注:9月3日にオンライン開催への変更が発表されました。詳細は新潟県地中熱利用研究会、NPO法人地中熱利用促進協会ホームページをご覧ください。

◆10月19日:「全国地中熱フォーラム2021新潟」開催へ!◆

◆新潟県地中熱利用研究会・池野会長インタビュー◆

ゼロカーボン社会の実現に向けて大きな効果が期待できる地中熱利用を広めることを目的とした「第2回全国地中熱フォーラム2021新潟」が2021年10月19日に新潟市内の朱鷺メッセで開かれます。このフォーラムの主催者の1つが開催地・新潟県で地中熱利用の普及拡大に取り組む新潟県地中熱利用研究会です。同研究会の池野正志会長(写真)に、フォーラムの目的や見どころ、地中熱を利用するメリット、新潟県内における現状などを聞きました。(聞き手:エコビジネスライター・名古屋悟【ECO SEED代表】)


◆再生可能エネルギー導入待ったなし◆


聞き手 昨年(2020年)は新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、残念ながら延期となった全国地中熱フォーラム2021新潟ですが、今年秋に開催される予定になっており、準備を進められているところだと思います。開催に向けた思いを。


池野氏 「昨年計画しておりました全国地中熱フォーラムは新型コロナウイルス感染によるクラスターの懸念があり、順延することとなりました。一年経ち、感染対策も明確になり、ワクチンの接種も始まったことから、10月19日に開催することとしました。

 この間、環境およびエネルギーに関して大きな転機が訪れました。即ち、昨年10月の菅総理の脱炭素宣言です。これに呼応して、地方公共団体もゼロカーボンシティを相次いで表明しています。改正地球温暖化対策推進法も5月26日に成立しました。まさに再生可能エネルギーの導入は待ったなしの状況になったと言えます。

本フォーラムでは、地中熱という再生可能エネルギー熱の絶好のアピールの場としたいと思います」


◆豊かで快適な社会の実現に地中熱という再エネ熱の果たす役割を明らかに◆


聞き手 「全国地中熱フォーラム2021新潟」ではどのような方々を対象に、どのような企画が行われるのでしょうか?


池野氏 「対象を特に限定はしていません。地球温暖化対策として再生可能エネルギー政策に携わっている自治体の皆様、建設・建築企業の方、農業や医療福祉関係の方、教育、金融関係の方、再生可能エネルギーに関する設計・施工関係の事業者の方、環境などの団体の方、関心を持たれる市民の方など広く広報していきたいと考えています。

 開催テーマを“ゼロカーボンを目指して、持続的社会の実現に向けた取組”とし、豊かで快適な社会の実現に地中熱という再生可能エネルギー熱の果たす役割を明らかにし、様々な視点から理解してもらう企画にしたいと思っています。

 フォーラムの他に企業展示ブース、翌日に地中熱利用施設の見学会も企画しています」


◆ポストコロナの地域活性化、企業のあり方◆

◆ゼロカーボンとSDGs―脱炭素社会実現に向けた地域での地中熱役割◆

◆新潟県内における地中熱、雪氷熱、下水熱の成功事例を紹介◆


聞き手 フォーラムは3部構成になっていますが、それぞれのテーマを選んだ理由、講演等のポイントを教えてください。


池野氏 「ここ最近の最大関心事は、新型コロナウイルス感染症と地球環境に対する脱炭素社会の実現です。

 第1部は、新潟県糸魚川市出身の伊藤聡子さんにお願いしてあります。伊藤さんは、フリーキャスター・事業創造大学大学院客員教授となっていますが、テレビによく出演されていたので、ご存知の方も多いと思います。

 伊藤聡子さんからは、特に新型コロナウイルス禍による経済の立て直しについて講演をお願いする方向で考えています。喫緊の課題であるアフターコロナの地域の活性化、企業の在り方をテーマといたします。

 第2部はパネル討論形式とします。テーマは「ゼロカーボンとSDGs ― 脱炭素社会実現に向けた地域での地中熱普及の役割 ―」とし、地中熱利用促進協会の笹田理事長より「脱炭素社会実現に向けて、地中熱はどのように貢献できるか」と問題提起していただき、環境省・新潟県・柏崎市から政策の講演、新潟県地中熱利用研究会から民間としての活動講演と討論を行います。脱炭素社会の構築と地中熱利用の普及に対する、それぞれの立場での意気込みを示せればと思っています。

 第3部は再生可能エネルギー熱の事例紹介となります。新潟県の特徴的なエネルギー事例として、地中熱の他、雪氷熱や下水熱での効果を示せる成功事例を取り上げます。コーディネーターとして当研究会顧問である長岡技術科学大学の上村靖司教授にお願いしてあります。防災や環境に対し、持続可能な社会の実現に向け、再生可能エネルギー熱の活用に理解をいただき、普及拡大に繋げたいと考えます」


◆10月20日には地中熱を導入した柏崎市新庁舎、刈羽村の農業ハウスを見学◆

聞き手 翌日には地中熱導入施設の見学会も予定されています。どのような施設ですか?

池野氏 「地中熱利用に積極的な柏崎・刈羽地区の施設を見学します。

 令和3年1月に業務を開始した柏崎市新庁舎は、『エネルギーのまち』に相応した自然エネルギーを利用した、災害に強く、安全で持続可能な新庁舎のコンセプトのもと建設されました。ロビーおよび執務室の空調、建物周りの融雪に地中熱設備を導入しています。その他、災害時のインフラの途絶等も考慮された設備など、先進性のある庁舎を見学します。

 もう1か所は刈羽村のぴあパーク「とうりんぼ」のピーチビレッジ園芸管理センターの農業ハウスです。新潟のブランド産品のイチゴである越後姫の高設栽培する大型ハウスの空調にクローズドタイプの地中熱ヒートポンプを使用しています。また、オープンタイプの地中熱ヒートポンプでイチゴクラウンの温度管理をしています。熱交換後の地下水は灌水に使用しています。本年度は隣接したトマトハウスでも地中熱利用が採用され、施工中の状況も見学できる見込みです」


◆県内ほぼ全市町村が研究会特別会員…フォーラム企業出展は良いPRの場に◆

聞き手 企業展示もありますが、出展を考えている方々に全国地中熱フォーラム2021新潟に出展する魅力を。

池野氏 「新潟県内のほぼ全市町村は当研究会員の特別会員となっています。このことは、自治体自身が再生可能エネルギーの情報を求めていることの表れだと思います。フォーラムには自治体の皆様、建築、設備関係の方、ユーザーの方の多くの来場が見込まれますので、良いアピールの場となると考えます。

 太陽光発電などと比べて、地中熱利用はその説明・理解が難しいシステムだと思います。また、完成した施設を見学しても地中熱利用部分はそれこそ地中ですので、なかなか目に触れることができません。出展される企業様には、それぞれのノウハウをもって地中熱利用の視える化をお願いできればと思います」


◆発足10年目を迎えた研究会で積極的に普及啓発活動を展開…新潟県は地中熱ヒートポンプ全国5位161件、ヒートパイプ全国2位99件に◆

聞き手 会長が感じている地中熱利用の魅力を教えてください。

池野氏 「昨年、新潟県は大雪になりました。その時、多くの方が暖房の安定性に悩まされた様に聞いています。実際、弊社でも空気熱利用エアコンと地中熱利用エアコンが利用されていますが、地中熱利用エアコンは1日中安定した暖房が得られました。また、ヒートポンプの運転音の静かさも魅力です。

 最も大きなメリットは、地中と熱交換をしている地中熱ヒートポンプは大気中に排熱しないこと、そして省エネであることです。このことはヒートアイランドや地球温暖化対策に大きく寄与する技術だと言えます」


聞き手 新潟県は北海道を除く地域では地中熱設備導入件数が多い地域。研究会では普及状況の調査も行っていますが、その状況は?

池野氏 「当研究会では新潟県内の導入件数を毎年度調査しています。令和2年度の研究会調べ速報値では、地中熱ヒートポンプ161件(環境省報道では165件)、ヒートパイプ99件、計270件となります。ヒートポンプでは全国5位、ヒートパイプでは全国2位となっています」


聞き手 研究会の活動がそのポイントになっていると思いますが、どのような目標を立てて取り組んできたのでしょうか?

池野氏 「今年は研究会発足10年目に当たっています。2020年度末には300件の施工件数を目標としておりましたが、前述の通り、あと、一歩及びませんでした。

 地中熱利用システムの理解と普及促進を目的に2019年の発足以来、会員である設備の設計・施工会社、機械メーカの33社により、新潟県内各地域において地元自治体と13回のセミナー、シンポジウムなどを開催し、その参加者は延べ2,700名を超えています。また、勉強会、見学会とともに、多くのイベントへの出展や講師派遣を行ってきました。その結果が、施工件数に表れていると思います。

 地中熱利用システムの理解はある程度できたと思います。今後は、導入に向けたより実践的な展開を図りたいと考えています」


◆フォーラムは、脱炭素社会の推進に有益な情報を提供できる機会◆

聞き手 フォーラムは、県内外の省エネをもっと進めたい企業や地中熱の普及に取り組みたい企業等にとって、有意義な情報を得る機会だと思いますが、そうした方々にメッセージを。

池野氏 「地球温暖化対策に向けた脱炭素社会の推進には、有益な情報を与えられる機会になると確信します。多くの分野の公共団体や企業等が協力し合い、画期的なイノベーションの推進ができれば幸いに思います」

聞き手 会長のお話を聞き、より一層「全国地中熱フォーラム2021新潟」の開催が楽しみになりました。ありがとうございました。

※「全国地中熱フォーラム2021新潟」の開催予告は、新潟県地中熱利用研究会ホームページの以下アドレスを参照ください。

http://www.ngeoh.jp/document/files/20210616.pdf

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