【2023年夏特集】④地質調査孔の熱応答試験利用で低コスト化目指す日さく

地中熱利用の課題として熱交換用の井戸掘削など設備導入に関連するコストが課題と言われ、その土地の地中が実際にどの程度熱交換可能なのかを調べる熱応答試験(サーマルレスポンステスト、TRT)も課題の1つとされています。こうした中、日さく(さいたま市大宮区桜木町4-199-3、若林直樹社長)は、そのTRTのコスト低減に向け、「地質調査孔を用いた熱応答試験」の研究開発を進めており、注目されます。


◆通常の地盤調査で利用する地質調査孔◆


この研究開発は、日さくがPEC(埼玉県桶川市加納873-2、遠藤康之社長)とともに進めているものです。

地中熱利用のうち、地下に埋設した管に不凍液や水を循環させて熱交換するクローズドシステムの検討する際、事前にTRTを行い、地盤の熱伝導率や採熱可能量を把握したうえで、必要な採熱施設の検討を行うことが望ましいとされています。

しかし、従来のTRTでは、Φ150mm以上のTRT専用の採熱孔を掘削する必要があり、装置が大掛かりになるため、試験1回あたりの費用がかかるのが普及における課題とされています。

こうしたことから、日さくでは通常の地盤調査で行われているΦ66mmの地質調査孔に着目。


◆地質調査孔で熱応答試験行うために多点温度計と小型加熱器を利用◆


地質調査孔でTRTを行えるように、小型の加熱装置と多点温度計を用意し、埼玉県桶川市における深度10mの調査孔を用いて、2種類のTRTを行い、その比較を行いました。

試験結果によると、埼玉県桶川市の深度10m孔において、0.5kWの加熱を24時間行い、深度0.5mごとに地下水温変化を計測したところ、地層全体の平均値(相加平均)として、1.35 W/(m・℃)を得たとしています。各地層の見かけ熱伝導率は0.76~1.98W/(m・℃)となり、ローム層・粘土層で小さく、砂層で高くなる傾向を示したとしています。


◆従来のTRTと同等の結果◆


なお、同一敷地内で深度10m、掘削孔150mmの採熱孔を用いて同地において加熱量50W/mの従来型TRTを行ったところ、見かけ熱伝導率λ=1.79 W/(m・℃)を得ています。

この結果から同社では、従来型(Φ150mm)と地質調査孔(Φ66mm)の2孔において深度10mのTRTを行い、おおむね同等の結果を得ることができたとしています。

この研究開発を進めている日さく技術開発本部の高橋直人氏は、「地質調査用の地質調査孔をTRTが行えれば、TRTのコストを大幅に抑えることができます。このことが、地中熱採用・普及の一助になるよう、努力していきたいと考えています」と話しています。

この結果を踏まえ、地質条件の異なるほかの地域でも地質調査孔によるTRTを実施する方針としています。複数地域で従来TRTと同等の結果が出れば、地中熱利用の普及を促進する手法となることから、今後の成果も注目されそうです。

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