◆今夏の検証で約10kw級の採熱が可能◆
地中熱利用システムの普及に取り組む株式会社日さく(さいたま市大宮区桜木町4-3、若林 直樹代表取締役社長)は、暑熱対策を視野に入れた「井戸水クーラー」の展開を視野にこのほど、自社埼玉工場(埼玉県鴻巣市箕田3326)に「井戸水クーラー」を導入し、効果等の検証を行っており、注目されます。
「井戸水クーラー」は、有限会社山陽地研(岡山県倉敷市粒江2520-4、濱本則幸代表取締役)が製作したプレートフィン付き熱交換器。
地下水を直接汲み上げ、熱交換機を通して空気を冷やすというシンプルな構造で、使用する電力は井戸の揚水ポンプと送風ファンのみとなっています。
フロン等の冷媒やコンプレッサー、ヒートポンプなどを使用しないので、導入コストが低く、メンテナンスも比較的容易になります。
日さくでは、2026年7月27日に施設の設置を行い、運用を開始。地下水は、敷地内の深さ40mの井戸から取水を行っています。
導入して約1週間後の8月4日の状況では、外気温32.0℃に対して、送風側の気温は約25.0℃となったとしています。吹き出し口から約2.0m離れた地点での室内気温は30.4℃となり、1.6℃の温度低下が認められたとしています。汲み上げる地下水量は20 L/minであり、地下水温は17℃で、採熱後の排水温は24℃となり、7℃の温度差が得られました。このときの条件から、地下水から得られるエネルギーは以下のように考えられるとしています。
地下水から得られる熱量=揚水量×水の密度×水の比熱×温度差
20 L/min×60 min×1.0×1.0 cal/g/℃× (24.0-17.0)℃=8,400 kcal/h
これを電力量に換算すると、8,400 kcal/h÷860=9.76 kWとなり、約10kW級の採熱が可能であると推定されるとしています。
◆低コストで作業環境改善…工場等への導入◆
日さく技術開発本部の高橋直人部長は、「金属加工工場などでは大規模な空冷ヒートポンプエアコンの導入がコスト条件等から難しい例が散見されます。このような工場では、酷暑により熱中症リスクが増大し、労働環境の悪化が、生産性の低下や離職率の上昇につながります」と昨今の酷暑による作業環境の厳しさを指摘した上で、「比較的低コストで導入でき、ランニングコストにも優れた地下水空調により、作業環境を改善していくことが大切だと考えています」と述べ、工場や農業などへの展開に期待を寄せています。
日さくでは今後、採熱量や地下水温、室内温度について引き続きモニタリングを行い、施工効果の確認を行っていくとしています。また、多湿な環境下では、熱交換器の結露と排水が課題となるため、定期点検等に必要な項目を抽出していくとしており、日さくにおける「井戸水クーラー」の検証や展開は今後、関心を集めそうです。
※記事中の図や写真は(株)日さく提供
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