岐阜大学はこのほど、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「再生可能エネルギー熱利用技術開発」等事業に基づき、東邦地水、ゼネラルヒートポンプ工業、テイコクとともに、岐阜県の長良川扇状地に位置する岐阜市内の公民館建屋(NEDO資料より)で地下水を直接活用するオープンループ型地中熱利用空調システムの実証運転を行い、既設の吸収式冷温水機空調システムと比べて運用コストを73%削減できることを確認したと発表しました。
この実証では、岐阜大学が条件有利地域を抽出する地下温度観測方法の確立と実証運転システムの稼働データモニタリングおよびシステム効率などの検証を、東邦地水が地下水逆洗運転システムの開発を、ゼネラルヒートポンプ工業が地下水熱交換ユニットの開発を、テイコクが浸透ます設置の適地選定技術の開発をそれぞれ担当。
通常地域と異なり、地下水温度が夏に低下し、冬に上昇する特性を持つ岐阜県の長良川扇状地を条件有利な実証エリアとして特定。クローズドループ型システムと比較して設置コストが低く、地下水の熱を直接利用するオープンループ型地中熱利用空調システムを導入した結果、既設の吸収式冷温水機による空調システムと比較して、ヒートポンプによる高効率化で31%、地下水熱交換ユニットによるポンプ動力削減の効果で42%、合計73%の運用コスト削減を達成したとしています。
今後、岐阜大学は稼働データモニタリングおよびシステム効率などの検証を行うとともに、システム普及に向けて地中熱の採熱可能量を可視化するためのポテンシャルマップの作成を進めるとしています。
また、東邦地水とゼネラルヒートポンプ工業は、ポテンシャルマップを活用し、地下水逆洗運転システム、地下水熱交換ユニットを備えたオープンループ型地中熱利用システムの事業化を計画しているとのことです。
※この記事は土地環境電子媒体「Geo Value」Vol.70(2019年2月25日配信)で掲載した者です。
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