【事例編】玉川学園が新たな学び舎に地中熱利用設備導入~「Geo Value」セレクション

◆“異分野融合の学びを育む場”の環境配慮で地中熱利用◆

◆創立90周年迎えた玉川学園:1月29日竣工の新校舎「STREAM Hall 2019」◆

“異分野融合の学びを育む場”の環境配慮で地中熱等利用――。創立90周年を迎えた玉川学園(東京都町田市玉川学園6-1-1)は、科学技術と芸術の融合を目指す独自の「ESTEAM教育」の拠点整備の1つとして「STREAM Hall 2019」(鉄筋コンクリート造、鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造地上6階地下1階、延べ床面積約12,158.27㎡:下写真が外観…撮影ECO SEED)の建設を進めてきましたが、このほど完成し、1月29日に竣工式を行いました。

この新校舎は、「SDGs」を強く意識し環境に配慮した設計になっている点が大きな特徴。建物を覆う金属製ルーバーは日射と自然通風のコントロールという役割を担っています。各ルーバーはコンピュータシミュレーションで最適な角度が決められています。


さらにトップライトと地中熱を利用した省エネ設計で、年間を通じて効果的な空調を実現。中間季や夏季には貯まった暖かい空気の誘因力で建物内の空気がトップライトから排気され、建物内の温度を調節。学修や研究活動のための快適な環境を保ちながら、一般の理工系大学の校舎に比べて30%の一次エネルギー使用量を削減。こうした設計により「CASBEE」(建築環境総合性能評価システム)で最上級のSランクを獲得しています。


空調は、天井放射空調や床吹き出し空調(右写真)を採用しており、熱源設備としては空冷チラー、地中熱ヒートポンプ、ボイラープラントを導入。季節等に応じて最も効率の良い熱源を選択して運転することが可能になっています。


熱源の1つである地中熱ヒートポンプシステムは、ボアホール式。100mボアホールを8本、ヒートポンプで構成されています。


「STREAM Hall 2019」は、 “異分野融合の学びを育む場”をコンセプトに、工学部・農学部・芸術学部が融合した教育を進めていく「ESTEAM教育」の拠点。玉川学園の全人教育をベースとした「デザインシンキング(課題解決型のプロジェクト学修)」を実践していくための教育・研究施設です。既設の「ELFStudy Hall 2015」(英語習得の場)、「University Concert Hall 2016」(音楽教育の拠点)、「Science Hall(大学6号館)」や2021年春オープン予定の「Consilience Hall 2020」とともに将来的には各施設をつなぐ通路や交流の場となる広場なども整備された「ESTEAM PARK」に発展していく予定としています。


なお、玉川学園はキャンパス全体で地下水を利用。同建物にも井戸があり、熱源としては利用していませんが、建物内で利用する水はすべて井戸水となっています。


玉川学園が掲げる「ESTEAM教育」とは、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)を統合的に教える「STEM教育」に、美術(Arts)とELF(English as a Lingua Franca:共通語としての英語)を融合するものです。

建物の設計は、久米設計設計本部。

※「STREAM Hall 2019」の省エネ様式(図は、玉川学園ホームページより)


※この記事は、「Geo Value」Vol.93(2020年2月10日付)に掲載されたものです。

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