【2024夏】①再エネ熱全体の普及促進に向けて再エネ熱利用促進協議会がスタート

◆再エネ熱利用促進協議会代表・笹田政克氏インタビュー◆

再生可能エネルギー熱利用は太陽熱、地中熱、バイオマス熱など様々な種類があり、これまで各熱エネルギーの利用拡大に向けてそれぞれの活動団体が普及促進活動を進めてきました。各団体の精力的な活動でエネルギー基本計画に再エネ熱が明記されるなどしてきましたが、依然として太陽光発電など再生可能エネルギー発電に比べると一般への認知度は低く、認知度の向上等が課題になっています。こうした中、2024年4月1日、再エネ熱利用促進協議会が発足。各種熱エネルギーの枠を超えた連携によって再エネ熱の利用拡大に向けた取り組みが今後本格化していきます。今後どのような取り組みを進めるのか、同協議会の代表である笹田政克氏(NPO法人地中熱利用促進協会理事長)に話を聞きました。(エコビジネスライター・名古屋悟)

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◆4月1日に再エネ熱利用促進協議会発足◆

――再エネ熱利用促進協議会が2024年4月1日に任意団体として発足しました。

「2019年から活動している再エネ熱利用促進連絡会を母体とした組織で再エネ熱利用の普及拡大等に向け、再エネ熱ネットワークの運営や自治体向けのセミナー等を実施していく予定です」

――再エネ全体の認知度は高くなっていますが、再エネ熱はまだ知らない方も多く、協議会の活動では認知度向上等もポイントになると思いますが、いかがでしょうか。

「再生可能エネルギーは非化石エネルギー源で太陽光発電や風力発電など電力として利用されているものがよく知られていますが、太陽熱や地中熱、バイオマス熱、下水熱、海水熱、河川熱、温泉熱、雪氷熱など熱として利用できるものもあり、それらを再生可能エネルギー熱(再エネ熱)と言います。

主な用途として空調や給湯の熱源として利用が可能です。再エネ熱を使うことで化石燃料の使用量、温室効果ガスの排出量を大幅に削減することが可能です。

2010年には国のエネルギー基本計画に再エネ熱が加えられ、導入に向けた支援制度等も設けられるようになりましたが、太陽光発電など再エネ発電に比べて再エネ熱は認知度が低く、大きな課題と考えています」

――認知度の向上等が課題となる中で協議会が発足したわけですが、経緯を教えてください。

「再エネ熱の普及拡大に向けては太陽熱、地中熱、バイオマス熱などそれぞれの熱源に関わる団体が各々で普及拡大に向けた啓発活動等を進めてきましたが、再エネ熱全体の認知度向上、利用拡大を図るためには連携した取り組みが必要であり、2019年に一般社団法人ソーラーシステム振興協会、NPO法人地中熱利用促進協会、一般社団法人日本木質バイオマスエネルギー協会が連携し、再エネ熱利用促進連絡会を立ち上げました。

連絡会では、迫りくる地球温暖化に向けた対策の一環として、主因であるCO2排出の削減のため、再エネ熱利用の重要性を内外に訴求し、再エネ熱の利用促進を目的として、連携した活動を行ってきました。再エネ熱の種類にとらわれない横断的な連携を行うことが大きなポイントで、再エネ熱利用の拡大に向けて政策提言等を行ってきたほか、再エネ熱に関わる人材育成に関する講座等を3団体が協力して実施してきました。

政策提言等に関しては、例えば2021年度には見直しが進められていたエネルギー基本計画、地球温暖化対策計画、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略に対してパブリックコメントを提出するなどしました。その結果、2050年に向けて再エネ熱が必要なエネルギーであることが明記されたところです。

人材育成の講座は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が2022年度から2023年度にかけて実施した再エネ熱人材育成講座を地中熱利用促進協会が受託して実施したものです。基礎編や応用編など複数回実施し、延べ約400名が参加しています。

こうした連絡会の活動が協議会の発足に繋がりました。

連絡会を通じて連携して実施してきたNEDOの再エネ熱人材育成講座事業は、再エネ熱全体に精通する人材育成のほか、事業者のネットワークを構築すること等も目的となっていました。事業は2年間で終了しましたが、講座参加者等からも活動継続を望む声が多く寄せられていたこと等を踏まえ、2023年12月より講座参加者を中心に再エネ熱ネットワークを形成しました。

再エネ熱ネットワークには現在160名ほどが登録していますが、再エネ熱の利用促進に資するこの再エネ熱ネットワークを継承発展させるため、再エネ熱利用促進協議会の設立を目指しました」


◆再エネ熱ネットワーク会員への情報提供、自治体等対象としたセミナー等開催へ◆


――運営の体制や具体的な取り組みはどのようなものになりますか?

「去る3月26日に連絡会を構成する3団体を設立時の会員として設立総会をソーラーシステム振興協会事務所で開催し、代表に私、笹田政克(地中熱利用促進協会理事長)が選任されたほか、副代表に原人志氏(ソーラーシステム振興協会専務理事)、監査役に矢部三雄氏(日本木質バイオマスエネルギー協会副会長)が選任されたところです。

当面設立時の3団体を会員とし、運営していく方針です。協議会では再エネ熱に関心を持って登録した再エネ熱ネットワーク会員に情報提供していきたいと思っています。

設立初年度は、再エネ熱ネットワークの運営を行うほか、自治体を対象としたセミナーの実施、再エネ熱利用促進協議会のウェブサイトの開設等を予定しています。

再エネ熱ネットワークの運営では、再エネ熱講座(太陽熱・地中熱・木質バイオマス熱等)や再エネ熱シンポジウムのオンラインでの実施を予定しています。

自治体を対象にした再エネ熱セミナーは、自治体からの依頼を受け、対面でのセミナーを実施したいと思っています。

事業の具体的な実施スケジュールは、6月に開催予定の協議会通常総会で確定する予定ですが、基本的にはこれまでのNEDO人材育成講座と同様のスケジュールで、再エネ熱講座を10月に、再エネ熱シンポジウムを12月に実施する予定です。また、自治体を対象にしたセミナーについては、再エネ熱ネットワークとは別にこれまで連絡会が行っていた活動を継承し、再エネ熱に関心のある自治体と連絡をとりつつある状況です」

――再エネ熱利用に興味・関心がある企業、個人はどのようにすれば協議会の活動に参加できますか?

「協議会が運営する再エネ熱ネットワークは再エネ熱に関心をお持ちの方であれば、どなたでも無料で登録できます。ご希望の方は、再エネ熱ネットワーク登録フォーム(https://ws.formzu.net/fgen/S95824919/)から登録いただければと思います。講座・シンポジウムは多くの方にご参加いただけるよう、これまで同様参加費無料で実施の予定です。ネットワークに登録いただいた会員には講座やセミナー等をお知らせいたしますので、ぜひ登録していただければと思います。

なお、再エネ熱ネットワーク事業にかかる運営経費については、事業にご賛同いただける会社に協賛をお願いする予定です。よろしくお願いします」


※再エネ熱利用促進協議会ホームページは以下のURLから。

https://saienenetsu.com/

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