【2024夏】②地中熱を活用して省エネ、省CO2で国産きくらげ栽培~PEC社

◆ターゲット事業者への提案力を高め、地中熱を活用したヒートポンプシステムの農産物工場を施工・販売し、主力事業に◆


◆経営改革新計画を埼玉県が中小企業等経営強化法に基づき承認◆


地中熱を活用して省エネ、省CO2で国産きくらげ栽培を――。地中熱など再生可能エネルギー熱の農林水産業での活用に関心が高まる中、地中熱工事等を手掛けている株式会社PEC(埼玉県桶川市加納873-2、遠藤康之社長)は、新規事業として「地中熱を活用したきくらげ事業」を開始することを決め、このほどその新規事業の経営革新計画が中小企業等経営強化法に基づき埼玉県に承認されました。

この取り組みは、市場で注目を集める地中熱を活用したヒートポンプ事業の用途開発を行い、提案営業を行うことで導入件数を増やし、新たな事業の柱に育てていくことを念頭においたもの。

燃料高騰に苦しみSDGsの意識が高まっている市場を選択し、クリーンな省エネ効果を訴求して運用面まで踏み込んで提案を行っていくほか、若い世代が注目しているSDGs貢献の活動を推進し、自社の知名度を上げて顧客だけでなく入職予定者の層にも自社の魅力を訴求していくことも視野に入れています。

同社では、国内に流通している8割以上が輸入品である「きくらげ」が近年、国内産のニーズが増えていることから「きくらげ」栽培に着目。「きくらげ」を国内で通年栽培するには安定した温度制御が必要になりますが、空調負荷の高い夏期と冬期には冷暖房費がかさんでいる点を考慮し、地中熱を活用したヒートポンプによる「きくらげ」栽培を事業化する考えとしています。


◆自社の新規事業による就業希望者の囲い込みも狙いに◆


同社では以前、「きくらげ」工場を施工した経験があり、その経験をもとに地中熱を活用したヒートポンプを導入した工場を本社敷地内に建設。モデル工場としてターゲット先への提案の場とするとともに近隣住民等に広く宣伝し、見学の場として公開することで自社の知名度を向上させたいとしています。

体制についても、農産物の栽培や収穫、梱包作業等には高齢の従業員を配置転換し、工事現場での安全リスクの低減を図るほか、収量の拡大とともに近隣の主婦層をパートとして採用し、働きやすい職場にしていくことでシニア層や主婦層にも優しい事業者として認知され、若手層からの就業希望者の囲い込みを図っていく狙いもあります。

新工場1期目は延べ面積20㎡、自社で地中熱を活用したヒートポンプ工事を行い、高断熱材を使用したハウス構造できくらげ生産の効率アップと省エネで優しい仕様とする考えとしています。

自社で工場を建設・運営することでノウハウを蓄積し、ターゲット事業者への提案力を高め、

地中熱を活用したヒートポンプシステムの農産物工場を施工・販売し、主力事業に育てていきたいとしており、注目されます。


◆浅層ボアホール施工の低コスト化等視野に無水掘削の有効性を検証◆


この新規事業のために同社では2024年5月、地中熱工事でコスト課題となっている熱交換井(ボアホール)工事の低コスト化等を視野に、通常より浅い層のボアホール施工に無水掘削の有効性の検証を開始。自社敷地内で無水掘削によるボアホール設置工事を実施しました。

通常のボアホール工事では深度100mほどの掘削が必要となり、泥水を用いた掘削工法が一般的ですが、小規模地中熱利用勉強会では20m程度の浅層の地中熱利用を視野に入れており、同社では土壌・地下水汚染調査等において10m程度の井戸掘削で使われている無水掘削が可能な掘削機に着目。泥水処理が必要なくなり、その分のコストカットが期待できるほか、泥水処理設備の設置スペースが不要になるなど省スペース化も期待されます。

当日は、小規模地中熱利用勉強会のメンバーも参加する中、土壌・地下水汚染調査等で使われる「ジオプローブ7822DT」を用いて試掘を開始。掘削ツールは4.25inchオーガーロッドとなっており、このロッドでは深度20mの施工実績がないため目標深度まで到達できるかどうか、施工可能な場合、どの程度の時間がかかるのか等を検証するとしています。

午前9:30~正午前までで8m程度掘削ができ、一定の手ごたえを感じたとしています。

今回試験的に掘削しているボアホールは、同社が新たに取り組む「地中熱を活用したきくらげ栽培事業」における熱交換用のボアホールとして使用するもので、4本を掘削する予定。検討している設備は、Uチューブ:呼び径25長さ20m×4本、ヒートポンプ:コロナ製HYS-AG11WZ〈定格暖房能力11kW〉としています。

なお、地中熱は「きくらげ栽培」の冬期暖房で利用する予定で、暖房の方式はファンコイルによる空調ではなく、床暖房方式にするとしています。

◆小規模地中熱利用勉強会◆

ボアホールの施工が可能であることが分かったのちは、設置したボアホールで十分な採熱が可能かどうか熱応答試験も実施する予定としており、今後の経過が注目されます。

なお、小規模地中熱利用勉強会は、小規模施設での地中熱利用の普及に向けたシステムの開発、普及目指す有志の会で、同社と日さくが幹事社として2023年度から活動しています。

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